オクノ修・詩/nakaban・絵『ランベルマイユコーヒー店』(ミシマ社)刊行記念 原画展&トーク

会 場:NADiff modern (2F Gallery)

 
●EVENT
トークイベント<『ランベルマイユコーヒー店』原画展トーク>
出 演 : nakabanさん×甲斐みのりさん×横須賀拓さん
日 時 : 2019年9月8日[日] 19:00 – 20:30

>>イベント詳細

  • 原画1

    原画1
  • 原画2

    原画2


 

●概要

 
 
コーヒーとともに日々を刻む、すべての人たちへ。京都の老舗喫茶店「六曜社」のマスター、オクノ修さんの名曲に触発され、画家のnakabanさんが10年以上温め続けた絵本『ランベルマイユコーヒー店』がついに誕生。その刊行を記念して、nakabanさんによる本作の原画を展示いたします。
 
 
この度、『ランベルマイユコーヒー店』の原画展示にくわえて、nakabanさんが今回のフェアのために描き下ろしたオリジナル作品を展示販売いたします。
そのほか絵本やグッズを数多く取り揃え販売致します。

 
 
今からもう20年近く前だろうか。僕が絵を描くことを仕事にしようと思い始めたころ、世の中はカフェブームだった。たんに美味しいコーヒーの時間を愉しむということだけでなく、カフェ店主の人物像にも関心が持たれ始めていた。

京都の六曜社でコーヒーをドリップするオクノ修さんは、そんなカフェブームを牽引する多くの若きコーヒー店主から尊敬されていたひとだった。コーヒー豆をひとり小屋で焙煎し、そして六曜社のカウンターに立ちドリップする。そんな静かな毎日の中で職人として在るひととして。もちろんそのような巷のカフェブームなどというものからも一歩距離を置いて。

今でこそ、静けさのかたわらで職人的な仕事に従く若いひとも多いと思うけれど、そのころ、そのような世界を夢見るひとにとってのお手本になるひとはとても少なかったと思う。何かの雑誌でオクノさんのことを知った僕は、自分の目指す絵の仕事もそのようにできたらいいのに、と強く憧れた。美術の世界ではなく他の分野にそのような「先輩」がいるということに気づいて嬉しくもあった。

オクノさんはシンガーソングライターでもある。僕は音楽が好きで、その頃からとくに好きだった「オフノート」という音楽レーベルを主宰する神谷一義さんに会いに行ったとき(当時、僕は尊敬するひとに勇気をふりしぼって会いにいっていた)、神谷さんはオクノさんの歌の素晴らしさをとつとつと語っておられた。そして別れしなに「オフノート」から発売されているオクノさんのCDをいただいた。聴いてみるとギターと歌のみのシンプルなアルバムだった。オクノさんははっきりと歌うので「詩」が耳からすっと入ってくる。仕事や日常での哲学的な気づき、恋愛や寂しさのこと、アイルランドの歌。けれどもそれらの歌はけして重くなく、あえてこう表現するけれども、とても洒脱に響いていて、それはもう、はっきりとオクノさんというひとにしかできない音楽なのだった。

コーヒーのことを直接歌った歌は意外にも少ない。それを簡単に歌にしないことでオクノさんはどこかコーヒーの秘密を守っているようなところがあるように思ってしまう。そんな中、「ランベルマイユコーヒー店」は、オクノさんの数少ないコーヒーの歌だ。ランベルマイユというオクノさんの心の中の街の、コーヒーの香る朝の風景を歌っている。短いけれどその歌はとても印象深くて、その街もそのコーヒー店もどこかに本当に存在しているように思えてしまう。そう思うのは僕だけではないらしく、オクノさんを知る誰もがその歌について語るとき、ほんの少し夢見がちな遠い目になるのだった。うまく言えないけれど、「そういうこと」ってすごくいいなと思う。そしてこの世界には「そういうこと」が少し足りないなとも思う。オクノさんのコンサートの会場に行くといらっしゃる神谷さん、今回この本のデザインをしてくださった横須賀拓さん(オクノさんの深い理解者でもある)、そしてオクノさんご本人に言い続けた。「あの歌を絵本にしたいです」。

長い人生のうちで一日の始まりがつらい日も多い。でも一杯のコーヒーのその香りに包まれているうちに、いつの間にかそのつらさから救われてしまっている、ということはないだろうか。僕にはある。それに、どこかで同じようにコーヒーをすすっているひとがいると想像すれば、不思議と呼吸は深くゆっくりになる。きっとこの歌は、そのようなことを歌っている。オクノさんは謙遜するに決まっているけれど、世界中のかけがえのない朝に贈る、これはとても大切な歌なのだ。

絵本版の「ランベルマイユコーヒー店」はそのようなことを思いながら制作しました。
だれかの朝からだれかの朝への贈り物になったら嬉しいです。

2019年6月 nakaban

nakabanさんより、本書に寄せて。
オクノさんと「ランベルマイユコーヒー店」のこと
 


 

●EVENT

 

『ランベルマイユコーヒー店』原画展トーク&サイン会

出 演:nakabanさん×甲斐みのりさん×横須賀拓さん
日 時:2019年9月8日[日] 19:00 – 20:30
場 所:Bunkamura地下1階 ドゥ マゴ パリ テラス
定 員:40名

 
サイン会対象:事前に絵本「ランベルマイユコーヒー店」(ミシマ社)をはじめ、ナディッフモダンにてnakabanの著作をご購入頂いた方を対象とさせていただきます。

イベント参加券:【参加券A】コーヒーつき・・・2200円(税込)
        【参加券B】書籍『ランベルマイユコーヒー店』(2376円)+コーヒーつき・・・4000円(税込)
 *各参加券にはコーヒー代(700円)が含まれております。
 *六曜社・かもがわカフェ・誠光社が共同企画して作られた「ランベルマイユブレンド」をご提供いたします。
 *【参加券B】は【参加券A】よりも、イベント参加費が576円お得です*

お申込み方法:①. ONLINESHOPにてクレジットカードでのお支払い >>NADiff ONLINESHOP
       ② ナディッフモダン店頭にてお支払い



コーヒーとともに日々を刻む、すべての人たちへ。京都の老舗喫茶店「六曜社」のマスター、オクノ修さんの名曲に触発され、画家のnakabanさんが10年以上温め続けた絵本『ランベルマイユコーヒー店』。その原画展最終日を飾るクロージングイベントとしてギャラリートークを開催いたします。

本書の著者である画家のnakabanさん、装丁を担当されたデザイナーの横須賀拓さん、そしてゲストには文筆家の甲斐みのりさんをお迎えいたします。京都の喫茶店についても著書などで多く執筆されている甲斐みのりさん、実は本書の原点でもある「六曜社」とも深いご縁をお持ちなのです。

今回のトークイベントでは、本書『ランベルマイユコーヒー店』制作にまつわるエピソードから、六曜社のこと、コーヒーや喫茶店についての思い出など、自由に語り合っていただきます。原画展の最後を締めくくるトークイベント、ぜひぜひご参加くださいませ!

 


 

●書籍紹介

「ランベルマイユコーヒー店」

ランベルマイユコーヒー店_書影(帯なし)
 
コーヒーとともに日々を刻む、すべての人たちへ。

京都の老舗喫茶店「六曜社」のマスター、オクノ修の名曲に触発され、
画家のnakabanが10年以上温め続けた作品、ついに完成。

版元:ミシマ社
発売日:2019/7/20
仕様:B5判変形並製
頁 数:32頁
価 格:2,200円(税抜)
 
  
 


 

●Profile

nakabanさん
nakaban(なかばん)
1974年生まれ。画家。広島市在住。絵画を中心にイラストレーション、文章、絵本、映像作品を発表している。新潮社『とんぼの本』や本屋『Title』のロゴマークを制作。著書に『よるのむこう』(白泉社)、『ぼくとたいようのふね』(ビーエル出版)、『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)ほか。珈琲片手の時間が大好きである。
nakaban

kaiminori
甲斐みのり(かい・みのり)
文筆家。1976年静岡県生まれ。
大阪芸術大学文芸学科卒業。
旅、散歩、お菓子、地元パン、手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨や暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。
食・店・風景・人、その土地ならではの魅力を再発見するのが得意。
地方自治体の観光案内パンフレットの制作や、講演活動もおこなう。
著書に、六曜社の奥野美穂子さんとの共著『京都・東京 甘い架け橋』(淡交社)がある。
甲斐みのり

yokosukataku
横須賀拓(よこすか・たく)
1972年仙台市生まれ。ブックデザイナー。京都精華大学テキスタイルデザイン科卒業。1998年より、京都を中心にフリーとして活動を始める。2002年、東京に拠点を移し現在に至る。最近の仕事に『すーちゃん』シリーズ(益田ミリ著・幻冬舎)、『台湾レトロ氷菓店』(グラフィック社)、『酒と人生の一人作法』(太田和彦著・亜紀書房)、『町・海・大地 川南町の旅』(甲斐みのり著・川南町広報誌)ほか。
横須賀拓


 

●お問い合わせ

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