『ART TRACE PRESS 05』刊行記念トーク
アナクロニスムについて

出 演 : 松浦寿夫、林道郎

日 時 : 2019年8月11日[日] 18:30-20:00(開場 18:15)

  • atp05_s

    atp05_s

 


会 場:NADiff a/p/a/r/t
定 員:70名
入場料:1,000円


 

●開催概要

 
 ART TRACE は芸術家たちの一種の協働組織として2003年3月に設立され、さらにその翌年、2004年8月に、両国にART TRACE GALLERYを開設するにいたり、制作と展示の両面にわたる自律的な基盤を確立することになりました。また同時に、林道郎、松浦寿夫の参加する研究会も定期的に開催し、その記録もこれまでに小冊子の形態で刊行してきました。このような背景のもとに、2011年11月に、ART TRACE PRESSの第1号の刊行も可能になったといえます。この創刊号は日本では初めてのポロックの回顧展の時期にあわせて、この画家の制作を理解するうえで不可欠と思われるいくつかの英語文献の翻訳紹介と討議記録、研究論文から構成されています。

 この内容構成は近刊の第5号にいたるまで踏襲されていますが、その意図はきわめて単純なもので、私たちの思考や制作に驚きと同時に作用力を行使する対象をより良く理解したいという素朴な願望に集約されます。そして、それがアナクロニック(時代錯誤的)に見えようとも、現在の美術の環境をめぐる情報ではなく、私たちの感覚に強い刻印をもたらす対象の理解への糸口を求めたときに、その要求に対応する雑誌が日本には存在しなかったという事実が本誌の刊行の動機に他なりません。

 今回のNADiff a/p/a/r/tでの公開対談では、これまでのART TRACEの活動を振り返るとともに、このアナクロニスムという概念を批評の文脈で再検討したいと考えています。そして、この概念が帯びかねないある種の素朴さ――それはまた、ART TRACEの活動を規定する素朴さでもあります――を検討することによって、歴史に対するアイロニーに満ちた反応とはもう一つ別の姿勢の可能性を考えてみたいと思います。そこに回復されるものとしてではなく、新たに産出されるべき様態としての芸術の幼年時代の徴候を見出しえるかが課題となります。

 


 

●EVENTご参加方法

 
ご希望日、ご参加を希望される方のお名前、お電話番号、ご参加人数を明記の上、メールにてご予約ください。
お電話でも承っております。TEL : 03-3446-4977
※当日キャンセルはかたくお断りしております



※受信制限をされている方は、当店からのメールを受信できるよう設定お願いいたします。
 


 

●商品情報
 
atp05_s

ART TRACE PRESS 05

責任編集:松浦寿夫 林道郎
 
発売日:2019年6月28日
刊 行:ART TRACE
判 型:A5判
価 格:2,300円+税
>> NADiff ONLINE
 
特集 アフェクトセオリー
座談会「感覚の論理学」:ドゥルーズ(以降)という問題圏
「アフェクト理論」についてのささやかな注記  林道郎
ロバート・スミッソンのエントロピーの美学  松井勝正
ゴッホのハイダイナミックレンジ絵画  荒川徹
 
美術批評を読む 第二回  峯村敏明
インタビュー
聞き手:林道郎 松浦寿夫
 
  たそがれ(誰彼)の概念芸術(1974年)
  生きられるシステム(1974年)
  ジェニファー・バートレットの庭で(1983年)
  眠れるアリアドネに照らされて(1993年)
  人はソレをなぜ芸術と見なしうるか(1997年)
  絵画における真の主役とは何か(2013年)
  25時の美術と批評(2016年)
 
豊嶋康子インタビュー
聞き手:林道郎 松浦寿夫
 
白井美穂 林道郎 松浦寿夫
見たまえ、馭者が子午線を通過しつつある!
──白井美穂映像作品全作上映と討議──

 
ウイリアム・ルービン 野田吉郎訳  ジャクソン・ポロックと近代の伝統⑥(最終回)
 
中林和雄   素材の香り 斎藤敦の思い出に
 
連載
桑田光平  ジャコメッティと詩人たち(5) 芸術家とモデル──ジェイムズ・ロードとジャック・デュパン
松浦寿夫  同時遍在性の魔(5)
林道郎   ポロックの余白に(5) ──チャールズ・ミンガス(そして少しだけ宇佐美圭司やマイルスや宮沢賢治)について
 
書評
永瀬恭一  書物の軍事的編成 『写真の理論』
 
REVIEW
永瀬恭一  溶け出すピクセル ucnv「二個の者がsame space ヲoccupy スル」
松浦寿夫  非飽和性の庭 2 白井美穂「Cosmicomics」展、その他
 


 

●PROFILE

 

松浦 寿夫(まつうら・ひさお)

IMG_4529 (1)
画家。武蔵野美術大学教授。
1954年東京生。東京大学大学院博士課程満期退学。
共著として、『モデルニテ3×3』(思潮社、1998年)、『絵画の準備を!』(朝日出版社、2005年)他。
最近の展示
2018年 Physica展(表参道画廊、東京)
     共同体について(URANO、東京)
     個展(2kwギャラリー、大津)
2019年 絵を描く衝動(ヒカリエCUBE、東京)
     Heterotopia(東京都美術館)
 
 
 

林 道郎(はやし・みちお)

Prof. Dr. Michio Hayashi (Office at Sophia University Campus) from „In Search of Colors (working title)“
Prof. Dr. Michio Hayashi (Office at Sophia University Campus)
from „In Search of Colors (working title)“

1999 年コロンビア大学大学院美術史学科博士号取得。現在上智大学国際教養学部教授。美術史および美術批評。
主な著作に『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』(全7冊、ART TRACE、2003-9)
『死者とともに生きる』(現代書館、2015 年)
「Tracingthe Graphic in Postwar Japanese Art」(Tokyo 1955-1970: A New Avant-Garde, New York: The Museumof Modern Art,2012)
共編書に『シュルレアリスム美術を語るために』(鈴木雅雄と共著、水声社、2011 年)
From Postwar to Postmodern: Art in Japan1945-1989( New York: The Museum of Modern Art,2012)など。


 

●お問い合わせ

ap_logo
NADiff a/p/a/r/t
150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
TEL. 03-3446-4977

>> shop info