朝海陽子 Northerly wind Yoko Asakai : Northerly wind

《オープニング・レセプション》11月2日[水] 18:00-20:00
《ギャラリー・トーク》11月12日[土] 18:00-20:00  大森克己(写真家)×朝海陽子
NADiff a/p/a/r/t 店内 にて入場無料(予約不要)
※30名様以降は立見となりますのでご了承ください。

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©Yoko Asakai《Untitled》2011

   
  

●概 要

   
写真家・朝海陽子(あさかい ようこ)をご紹介いたします。
 2007年よりコンスタントに作品を発表し、08年には写真美術館「オン・ユア・ボディ」展、10年には「VOCA」展ほかにも出品している女性写真家です。家族や親しい人たちが室内でくつろいでいるシチュエーションをユニークな視点で捉えた新しいスタイルの写真で注目を集めています。
 2011年初頭に出版された写真集「sight」は、朝海の初の作品集です。飯田志保子氏による優れた論考もこの若い写真家の仕事を文脈づけています。
 室内でくつろぎながら映画を見ている人物の、映画に没入していくその瞬間を捉えたポートレイトには、被写体の表情が仔細に映し出されます。しかし、そのとき被写体の眼差しがどのシーンの何を見ているのかは決して画面には映りません。瞳が何を反射して、感情がどのように揺らめいているのか多様な想像力を喚起される写真シリーズです。

 このたびナディッフでは朝海の新作ランドスケープを展示します。朝海はこの夏、レジデンスで青森に滞在し車で各地を訪ね歩きました。生活者でもなく旅行者とも少し違う通過者の視点。ぐるりと四方に視界がひらけるほぼ無人の風景のなか、移動しながら、あるいはじっとしていると、そこには常に風が吹いていました。平面の静止画像に定着させることが困難なこの“風が吹く”(あるいは風が止むことも)ということについての思考をめぐらせながら撮影の旅は続きました。

 新作のランドスケープはポートレイトのシリーズとは随分異なる印象を受けますが、朝海の関心とコンセプトには通底するものがあります。
 ひとつは特定の場所で起きる現象を“待つこと”です。写真家はサイトを選びフレーミングすることは出来ますがその中で継起する出来事の瞬間を捕らえるためには“待つこと”が必要になります。もうひとつは、そのために被写体(この場合は“風”)に導かれて自分から普段訪れることのない場所に導かれ辿り着くこと。こうしたことのための膨大な時間や移動や思考が、朝海の写真のエッセンスとなります。
 朝海が待つのは、ほんとうは決して写真には写らないものなのかもしれません。写真に写るものと写らないものを同時に追いかけながら、その結果は写真についての思考を伴う写真として、稀有な表現を私たちにもたらしてくれています。
 ギャラリーでは、風を追いかけて気象表示板風向風速計を探し出し撮影された写真を中心に、移動しながら写された風景写真と構成されています。
 画面に定着させることが出来ない“風”を追いかけて撮影された写真は、優れて現代的な写真についての写真ということができるとともに、“風”を探すロードムービーのような、物語が隆起しはじめる手前の風景をすくいとるような試みを追体験することができます。

 また、関連トークイベントとして、気鋭の写真家・大森克己氏との対談を予定しております。これは朝海からのリクエストであり敢えて写真家同士の公開トークということとなりました。とてもスリリングな写真論の往還がされることでしょう。どうぞご期待ください。

 同時期に国際芸術センター青森にて「『再考現学/Re-Modernologio』Phase2: 観察術と記譜法」が開催されます。あわせて、どうぞご高覧下さい。

企画協力:無人島プロダクション

   



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●書籍情報

「sight」朝海陽子 sight 2006-2010, by Yoko Asakai
テキスト 飯田志保子  赤々舎 / 2011年刊行 / 3,465円(税込)

   


●同時開催

『再考現学/Re-Modernologio』Phase2: 観察術と記譜法
2011年10月23日[日]-12月18日[日] 国際芸術センター青森
 


●Profile

   
朝海陽子 Yoko Asakai
   

WEB: YokoAsakai.com

1974 東京生まれ
1998 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン 写真学部卒業、アメリカ

《個展》
2011 「Conversations」無人島プロダクション、東京
「sight」赤々舎、東京
2009 「22932」無人島プロダクション、東京
2008 「sight」コニカミノルタプラザ、東京
2007 「Trigger」ツァイト・フォト・サロン、東京
1999 「The Book of Memory」ギャラリーMole 、東京

《グループ展》
2011 「こどもの情景―原風景を求めて」東京都写真美術館、東京
    「クロスカウンター・アーティスト交流プロジェクト」XYZ COLLECTIVE、東京
2010 「VOCA展2010―新しい平面の作家たち」上野の森美術館、東京
    「移動~無人島 in 高円寺での最初で最後のグループ展~」無人島プロダクション、東京
2009 「Photo Communication」横浜市民ギャラリーあざみ野、神奈川
    「Re:Membering – Next of Japan」Doosan GALLERY、ソウル
2008 「相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら2008」相模原市民ギャラリー、神奈川/ニコンサロンbis新宿、東京
    「日本の新進作家Vol.7 オン・ユア・ボディ」東京都写真美術館、東京
    「2007年度コニカミノルタ フォト・プレミオ年度賞受賞写真展」コニカミノルタプラザ、東京
2007 「Japan Caught by Camera : Works from the Photographic Art in Japan」上海美術館、上海
2003 「2002年度(第8回)ヤングポートフォリオ展」清里フォトアートミュージアム、山梨

《受賞》
2008 「相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら2008」さがみはら写真新人奨励賞
   「第9回コニカミノルタ フォト・プレミオ」特別賞

《今後の展覧会予定》
・「『再考現学 / Re-Modernologio』phase2 : 観察術と記譜法」2011年10月23日-12月18日 国際芸術センター青森、青森
・個展 2011年11月23日[水・祝]-12月11日[日](仮)project room sasao、秋田

《パブリックコレクション》
東京都写真美術館、上海美術館、清里フォトアートミュージアム
   


 

●お問い合わせ

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TEL. 03-3446-4977

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