「行きつ戻りつ つくり つくられること」佐野 陽一・久村 卓・山極 満博

《オープニング・レセプション》
1月12日[木] 18:00-20:00

《ギャラリー・トーク》
1月15日[日] 17:00-18:30 佐野陽一 × 丹羽晴美(東京都写真美術館学芸員)

1月20日[金] 18:30-20:00 久村 卓 × 青木 淳(建築家)

1月28日[土] 18:00-19:30 山極満博 × 粟田大輔(美術批評)

いずれも NADiff a/p/a/r/t 店内 にて
入場無料(予約不要) ※30名様以降は立見となりますのでご了承ください。

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Mountain as Architecture|山は建築 2011 ©Taku HISAMURA

   
  
この度ナディッフ・ギャラリーでは、3人の若手作家による展覧会「行きつ戻りつ つくり つくられること」を開催いたします。
ピンホールカメラによる作品を発表しつづけ、同時期に東京都写真美術館のグループ展「日本の新進作家展vol.10 写真の飛躍」にも出展している佐野陽一。会場やその場にあるものを使って物品と場に新たな視線と意味を導入するインスタレーションを行う久村卓。移動と距離、スケールを軸に、ミクスト・メディアのインスタレーションを構成する山極満博。
3人に共通していることは、自分と世界の「関係性」のあり方を制作や展示に意識的に織り込んでいるところです。今回は、3人3様の表現のメディア、プロセスと展示手法をたずさえた作家が協働するユニークな試みです。ぜひご高覧ください。
   
展示協力: 株式会社 カシマ
   


●Artist Statement

   
“つくること”は、白紙を前にして、はじまることだろうか。
   
私たちは、大きな声ではっきりと端的に話すことをしません。これは単に身体的な特徴に限ったことではなく、お互いの考え方を投げ合うのではない、それぞれのつぶやきの断片を紡ぎ合わせながら、ぼんやりとした事象を思い描いていく思考作業を大切にしているからなのです。
   
個々の作品に目を向けても同じことが言えます。それぞれの作品は、強固な自立性を持って存在することをあえて避け、それらが他者(=世界)と交換される場を常に意識し、そこで起こるであろう関係性がもたらす作用に配慮しながら制作していきます。
   
言い換えれば、「つくられること=(展示)」を想定しながら「つくること=(作品)」に向かうという、いわゆる“制作”のプロセスを逆に辿る試みが三者により行われるのです。そしてこれは一度きりの作業ではなく、そこから始まった「つくること」の中身を互いに開示しあいながら、また「つくられること」を想定するという行為の繰り返しによって展示を作り上げていこうとする、平衡状態が見てとれます。
これにより明らかにされてくるのは、「つくられること」や「つくること」の本質に他なりません。一体、「展示」とはどういう状態で、「作品」とは何を指すのか。
   
たとえば、本展で展示される佐野の写真作品は、久村と山極が選ぶことで、展示に関わるシンプルな関係性を築こうとする意図、前提があります。一方、久村は店内にある、備品や什器を移動させてオブジェクトを構成、展示というシステムを投射すべく、積極的に展示背景に関わり、何らかの仕掛けを施します。そして、他方では、久村により運び出され、生じた空白(間)に、山極はスケールという文脈を持ち込んで、ひっそり、ちいさな空間をつくりだします。
   
— 佐野 陽一・久村 卓・山極 満博


●関連商品

〈佐野陽一〉
・つばめブックス001『佐野陽一 通常版』
 1,890円(税込) ※会期中特別価格
・つばめブックス001『佐野陽一 ナディッフエディション』 会場限定販売!!
 限定30部 / 5×7インチカラープリント、裏面にエディションナンバー、サイン入り / 4,000円+税
   
   
hisamura_soapstone[1]
〈久村 卓〉
・石石けん『硫黄岳の山頂』 ※2012年1月12日発売
 素材:石けん / 3,333円+税
   
   
yamagiwa_hakotohito[1]
〈山極満博〉
・「開館25周年記念 静岡県立美術館コレクション 百花繚乱展」関連イベント
 「もの」「ひと」「はこ」の特別展示カタログ
 『箱と人』による展示 X+Y  ※2012年2月上旬発売
 571円+税
 


●Profile

   
佐野陽一 Yoichi Sano
   
1970年東京都生まれ。東京都在住。96年東京造形大学造形学部研究生修了。04―05年文化庁平成16年度新進芸術家国内研修制度国内研修員。
現在、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科非常勤講師。90年代半ばよりピンホールカメラの手法を用いて「世界を知覚する手がかりとしての写真」をテーマに作品を展開する。アユミギャラリー(東京)、Space Kobo&Tomo(東京)ツァイト・フォト・サロン(東京)、switch point(東京)等で個展開催。
「VOCA展2004」上野の森美術館、「《写真》見えるもの/見えないもの」東京藝術大学大学美術館陳列館、「中国現代美術との出会い―日中当代芸術にみる21世紀的未来―」栃木県立美術館、他グループ展多数。12月10日―2012年1月29日「日本の新進作家展vol.10 写真の飛躍」東京都写真美術館に出品。
   
   
久村卓 Taku Hisamura
   
1977年東京都生まれ。東京都在住。01年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。
「収集する」「移動する」「直す」などの、造形行為以外による立体作品の成立を模索する。ギャラリー山口(東京)、スペースワン・サード(東京)、秋山画廊(東京)で個展開催。「都筑アートプロジェクト2011」横浜市歴史博物館 他(神奈川)、「都市に潜む」渋谷駅地下コンコース(東京)、「The Lounge」ブルガリ銀座タワー(東京)、「更新に憑く―可塑的な無人島」アキバタマビ21(東京)、「真夏の夢―椿山荘」椿山荘(東京)、「U-39空気遠近法」Art Program Ome 2008(東京)等で、会場にあるものを使って制作・発表を行う。
  
  
山極満博 Mitsuhiro Yamagiwa
  
1969年長野県生まれ。1992年東京造形大学デザイン学科Ⅰ類映像コース卒業。
移動と距離、スケールを軸に、絵画から写真、インスタレーションへと展開しながら“見ること”の関係性を描く。
おもな個展としてギャラリー現、ギャラリー覚、BASE GALLERYなど。2008年「あっちとこっちとそっち」と題した複数の作品が十和田市現代美術館(青森)に恒久設置される。2010年「知覚の扉」豊田市美術館及び喜楽亭(愛知)、2011年「eine landschaft entwerfen」ZELLWEGERPARK(スイス)。