須藤絢乃「Anima / Animus」

店休日:1月11日(火)、17日(月)、24日(月)

営業時間:13-19時

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    須藤絢乃《Anima / Animus》2019年、インクジェットプリント

    須藤絢乃《Anima / Animus》2019年、インクジェットプリント

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    須藤絢乃《Anima / Animus》2019年、インクジェットプリント

    須藤絢乃《Anima / Animus》2019年、インクジェットプリント

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    須藤絢乃《Anima / Animus》2018年、インクジェットプリント

    須藤絢乃《Anima / Animus》2018年、インクジェットプリント

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    須藤絢乃《Anima / Animus》2018年、インクジェットプリント

    須藤絢乃《Anima / Animus》2018年、インクジェットプリント

©Ayano Sudo, Courtesy of MEM

 

●概要

 
NADiff Galleryにて、須藤絢乃の個展「Anima / Animus」を開催いたします。
須藤絢乃は被写体の性別を超えた変⾝願望や理想像を写真に納め、少⼥漫画のカラー原稿と写真の狭間にあるような作品を発表している写真家です。⾏⽅不明の少⼥たちを題材にした《幻影》(2013)で、2014年キヤノン写真新世紀グランプリを受賞し、⼀貫して仮想世界と現実を⾏き来するようなシリーズを展開しています。

本展では、キヤノンのドリームラボで印刷された限定版写真集の刊⾏を記念して、2015年に逝去した画家、⾦⼦國義⽒の⾃宅で、2019年に取り壊される直前まで撮影した「Anima / Animus」シリーズを展覧いたします。
折に触れて、⾦⼦⽒の作品世界との接点を指摘されていた須藤は、「⾦⼦先⽣に会いに⾏かなければならない」という強い思いを抱えていました。しかし、遂に対⾯の機会が訪れたその⽮先、⾦⼦⽒はこの世を去ります。本作は、「その機会がもうこの世界に微塵も存在しない、という残酷な事実」(椹⽊野⾐による「Anima / Animus」寄稿⽂より)が作家を駆り⽴て、⾦⼦⽒の関係者たちの協⼒のもと制作が叶った作品です。

写真集のタイトルである、Anima (アニマ)は 男性の無意識内にある女性的な側面、Animus (アニムス)は女性の無意識内にある男性的な側面という意味があり、日本語では、「魂」という言葉があてられます。金子國義氏が描いてきた魅惑的な人物たちは、内なる魂の、いわば氏の分身の姿とも言えます。またそれらが日々生み出された「金子國義の家」には半世紀以上の月日をかけて地層のように重なった数え切れないオブジェクトの一つ一つに金子氏の愛と魂の吐息がかけられて、美しい亡霊のように訪れる人々の魂を誘います。須藤はその目に見えない「アニマ/アニムス」を擬人化し、ポートレートという手法を用いて、滅びゆく美しい部屋の中に宝石のように散りばめられていた魂の鱗片を今回発表する作品群「Anima/Animus」の中に収めました。

今回の展覧会は、MEMで開催の須藤絢乃展「VITA MACHINICALIS」と同時開催となります。同ビルで開催する2つの展覧会は、3階MEMではバーチャルとリアルのあわいに揺らぐ美しさを探り、地下NADiff Galleryでは死や無意識の世界と⽣や意識の世界の間に揺らめく美しい存在を写し出した、対照を成すような展覧会です。作家の最新作をご覧いただける2つの展覧会に、ぜひご期待ください。

協力= MEM



 「金子國義氏との思い出」と書けるものが私には何一つない。私は生前の金子氏とお会いする機会に恵まれなかった。不思議なことに、私の半生の中、初めて会う人が、開口一番「金子國義」という名前を話題に出す事が多々あった事だけがずっと気になっていた。
 金子氏の訃報が流れる1週間前もそうだった。私は当時関西に住んでいて、その日は京都に来られていた氏と交友のあった写真家の方が、「今度あなたが東京に来たら金子先生に会いに行こうね」とタクシーの中で私に話していてくれた。出会った方々が口々に言った「その人」と遠くない将来にお会いできるのかと、ぼんやりといつか来るその日の事を想像していた。
 そして2015年3月17日、SNSで金子氏の訃報を知る。「間に合わなかった!」いまでもとっさに心に浮かんだこの言葉を覚えている。奇しくも、金子氏のお通夜となった日に、私には以前より東京出張の予定が入っていた。漸くお会いできたのは棺の中の金子氏だった。
 
 数ヶ月後、また不思議なご縁があり金子邸に伺う機会をいただいた。その時の印象は、今回発表する写真集「Anima/Animus」の中で書いたので、ぜひ読んでいただきたい。初めて私が訪れたその時からすでに家が老朽化し、この状態をずっと保つことは難しいという話を遺族の方から聞いた。この場所がいつか消えて無くなってしまうのは、ただただ寂しい。けれども、私が何を想おうともこの家は朽ちてゆく、時の流れはそういうものであると、どこか違う世界で起こっている話を聞いているような気持ちでいた。
 しかし、それから日が経つたびに、金子邸での印象がどんどん膨らみ、目を瞑っても浮かんできた。次第に何かしらの形であの家の空気を遺すことはできないかと考え始め、それから、何が何でも、写真を撮らせてもらいたいという気持ちにまで変化し、最終的には「あの空気が無くなって仕舞う!」という焦燥感と共に硬い決断となっていた。今思い起こすと自分では考えられないほどの厚顔無恥な行動だった。当時の自分を省みると、目眩がするくらいに。
 この世を去った方と関わることは、簡単なことではない。それから金子邸の撮影に漕ぎ着けるまで、心が千々乱れるほど緊張感のある日々であった。金子邸取り壊しまでの4年間の撮影経緯と思い出を書くならば、作品に寄せる文章の範囲には収まらないほどの、沢山のご縁と秘密がある。なんでも詳しく話しすぎるのは「野暮ね」という言葉がどこかから聞こえて来そうなので、作品の核となる部分だけにとどめておこうと思う。
 
 この写真たちは2015年から、金子邸が取り壊される2019年まで断片的に撮影している。記録写真に留まらず、時には金子邸から離れ、金子氏の世界観を考察しながらこの写真たちを作品たらしめる実験的な撮影も行った。
 制作中は金子氏の遺品に囲まれながら氏自身の人物像やこれまで作品として表現されてきたものに想いを馳せた。⾦⼦⽒の描く⼈物には、⼩悪魔的な少⼥や、凛々しい男性像が登場する。彼らは氏の無意識の中に持つ、内なるキャラクターの如く⾦⼦⽒の分⾝として作品の中に現れるのではないかと私は考えた。
 
 私が制作した今回の作品群にふさわしいタイトルを構想している時に、⼼理学者のユングが用いた、Anima/Animusという言葉に辿り着いた。Anima (アニマ) とは男性の無意識内にある⼥性的な側⾯。Animus (アニムス) とは⼥性の無意識内にある男性的な側⾯。日本語では、「魂」という言葉があてられる。
 
 いずれも、⼈間が社会⽣活の中で無意識の中に押し込めた内なる部分ー男らしさ/⼥らしさという⼀般的であり表層的なイメージの裏側とも言えるし、恋愛対象や、芸術においてもその「魂」が影響されていると考えられている。
 
 魂の鱗片がきらきらと散りばめられた金子氏の家を取り巻く空気に、いつまでも触れていたい、遺したい、という気持ちにさせられるのは、氏にまつわる全ての物質に対して、それらを愛した人々が自らの魂を投影するが故の衝動でもあるのだろう。
半世紀以上の月日をかけて地層のように重なった数え切れないオブジェクトの⼀つ⼀つに⾦⼦⽒の愛と魂の吐息がかけられて、美しい亡霊のように訪れる私たちの魂を誘う。私はその目に⾒えない「Anima/Animus」を擬⼈化し、ポートレートという手法を用いて、滅びゆく美しい部屋を写真におさめようとした。言うなれば、魂が目に見える形となった「お化け」の写真ともいえるだろう。

須藤絢乃

 


 

●EVENT

須藤絢乃が毎号様々な表現者と作り上げるアートマガジン『薄荷 The peppermint magazine』に参加したアーティストとのトークイベントを行います。
  
  

EVENT 1 ※延期開催が決定しました。詳細は下記をご確認ください。
氷野清史郎(薔薇貴族薔薇学園生徒会長)&泉深薫(イミテーションフラワーアーティスト)+須藤絢乃
トーク&漫才イベント

日 時 : 2022年1月15日[土] 19:30-20:30(開場 19:20) 
会 場:NADiff a/p/a/r/t
  
【イベント中止のお知らせ】1月14日21:40更新
1月15日に開催を予定しておりました須藤絢乃展関連イベントにつきまして、イベント関係者に発熱の症状が確認された為、大変申し訳ございませんが、1月15日の開催を中止とさせて頂きます。なお、須藤絢乃さんやNADiff スタッフは発熱者との接触はございませんでしたので、1月15日の店舗・ギャラリーの営業は通常通りとなります。
イベントを楽しみにして頂いていたお客様には大変申し訳ございませんが、何卒ご容赦ください。

  
【延期開催のお知らせ】1月17日21:10更新
1月15日(土)に中止となりました「氷野清史郎&泉深薫+須藤絢乃 トーク&漫才イベント」ですが、発熱の症状があった関係者の抗原検査の結果、陰性が確認できましたので、延期して1月21日(金)に開催いたします。15日ご予約のお客様にご参加の可否を確認させて頂いたのち【1月18日(火)19:00】より、空席分のチケットを販売いたします。定員20名に達した時点で受付終了となります。アーカイヴ配信については、アーカイヴ配信のチケットをご購入のお客様にイベント終了の数日後に視聴用URLをお送りします。

延期開催
氷野清史郎(薔薇貴族薔薇学園生徒会長)&泉深薫(イミテーションフラワーアーティスト)+須藤絢乃
トーク&漫才イベント

日 時 : 2022年1月21日[金] 19:30-20:30(開場 19:20)
会 場:NADiff a/p/a/r/t
参加費:会場/2,750円(税込)※定員20名 販売終了
    アーカイヴ配信/1,650円(税込) >>TICKET(2月6日19:00まで販売)

  

EVENT 2
ルアン(電影と少年CQ)× 須藤絢乃
トーク&朗読イベント

日 時 : 2022年1月29日[土] 19:30-20:30(開場 19:20)
会 場:NADiff a/p/a/r/t
参加費:会場/2,200円(税込)※定員20名 販売終了
    アーカイヴ配信/1,650円(税込)>>TICKET(2月6日19:00まで販売)

 


 

●EVENTご参加方法

 
 
要予約 / 前払い制(ご入金をもって、ご予約完了となります)
NADiff ONLINESHOPにてチケットをご購入ください。

※キャンセルはお断りしておりますが、やむを得ない場合はイベント前にお問い合わせください。(03-3446-4977 またはwebshop@nadiff.com)
※イベント終了後のキャンセルについては、ご返金はできません。予めご了承ください。
※当店の判断によりイベントが中止となった場合は、全額ご返金いたします。
 


 

●商品情報

 

須藤絢乃「Anima / Animus」スペシャルボックス(限定10部)

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インクジェットならではの広い表現色域を最大限に活かして豊かな色表現を実現した、業務用フォトプリンターDreamLabo 5000(キヤノン株式会社)による高画質写真集です。附属するプリントは、須藤絢乃の初のモノクロ作品で、写真集には収録されていないアザー・カットをゼラチン・シルバー・プリントで制作しました。
 
 
発行:キヤノン株式会社
寄稿:椹木野衣/須藤絢乃
デザイン:岡田奈緒子、小林功二(ランプライターズレーベル)
印刷:ジャパンクリエイト株式会社
プリンター:Canon DreamLabo 5000
企画・制作:写真新世紀
仕様:243×303mm|72頁|図版 49点|布ばり上製本(ハードカバー)|サイン入り|特別函入り|プリント1葉付
プリント:ゼラチン・シルバー・プリント | 203×254mm | サイン、ナンバリング入り
価格:220,000円(税込)

【附属プリント】ゼラチン・シルバー・プリント | 203×254mm | サイン、ナンバリング入り 須藤絢乃《Anima / Animus》2019年、ゼラチン・シルバー・プリント©Ayano Sudo, Courtesy of MEM
【附属プリント】ゼラチン・シルバー・プリント | 203×254mm | サイン、ナンバリング入り
須藤絢乃《Anima / Animus》2019年、ゼラチン・シルバー・プリント©Ayano Sudo, Courtesy of MEM

 

>>OIL by 美術手帖

 


 

須藤絢乃「Anima / Animus」普及版

Animaanimus表紙
 
 
発⾏:須藤絢乃/薄荷 The peppermint magazine
寄稿:椹⽊野⾐/須藤絢乃
デザイン:須藤絢乃
協力:写真新世紀
仕様:210×262mm|54⾴|図版 42点|ソフトカバー
価格:3,850円(税込)

>>NADiff online

>>関連商品一覧

 
 


 

 


 

●作品の販売について

 
展示作品は2022年1月7日(金)13:00よりNADiff a/p/a/r/t店頭とOIL by 美術手帖で販売開始いたします。

>>OIL by 美術手帖

 

●同時開催

 

須藤絢乃《VITA MACHINICALIS》 2018年、インクジェットプリント ©Ayano Sudo, Courtesy of MEM
須藤絢乃《VITA MACHINICALIS》 2018年、インクジェットプリント ©Ayano Sudo, Courtesy of MEM

須藤絢乃展『VITA MACHINICALIS』

 
2022.01.07[金]—2022.01.30[日]
会場:MEM(同ビル3階)
   150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
>>詳細
 


 

●PROFILE

 
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須藤絢乃|Ayano Sudo

被写体の性別を超えた変身願望や理想像を写真に納め、少女マンガのカラー原稿と写真の狭間にあるような平面作品を発表。実際の作品は独自のテクスチャをもった印画紙にプリントされ、さらにラインストーンや、グリッターなどで装飾され、照明の元でキラキラと輝く仕様になっている。2011年、ミオ写真奨励賞にて森村泰昌賞受賞。国内外のフェアでも精力的に作品を発表し、同年10月に台湾、1839當代藝廊(台北市)で初個展。2014年、実在する行方不明の少女たちに自ら扮したシリーズ「幻影 Gespenster」でキヤノン写真新世紀グランプリを受賞。同タイトルの作品集がフランスのHOLOHOLO BOOKS より出版されている。2018年、東京都写真美術館で開催されたグループ展「愛について アジアン・コンテンポラリー」に参加。アーティストとして現在国内外の展覧会、アートフェアで展示するほか、フォトグラファーとして各種雑誌等で活動中。
 


 


 

●新型コロナウィルス感染予防対策

 
【お客様へのお願い】
・ご来場時にはマスクの着用をお願いいたします。
・ご来場時には手指の消毒をお願いいたします。
・37.5℃以上の発熱や咳、全身痛などの症状がある場合、ご自身の体調に不安のある場合は、くれぐれもご無理なさらずご来場をお控えいただきますようお願い致します。
・お客様同士およびスタッフとの距離を十分に取れる空間確保のため、入場制限を設ける場合がございます。
・大人数でのご来場はなるべくお控えください。
・万が一関係者などから新型コロナウイルス感染症の発症があった場合、連絡を差し上げられるよう、ご連絡先の記入をお願い致します。

【当店の対策】
・1階の店内入口にアルコール消毒液を設置しておりますので、入店の際は手指の消毒をお願い申し上げます。
・地下1階の搬入口の換気をし、展覧会会場の換気を行います。
・2時間に1度、螺旋階段の手摺や、鑑賞用の椅子のアルコール消毒を行います。
・当店スタッフは毎朝体温を測定し、健康状態を確認のうえ出勤しております。手洗いと手指消毒を徹底し、マスク着用で対応いたします。
 
>>営業時間・店内での新型コロナウイルス感染症の予防と感染拡大防止対策について
 


 

●お問い合わせ

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NADiff a/p/a/r/t
150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
TEL. 03-3446-4977
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌火曜日休み)
営業時間:13-19時 
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