中ザワヒデキ展「ソースと実行」

月曜日定休※月曜が祝日の場合は翌日

EVENT

[OPENING RECEPTION]2016年2月11日[木・祝] 19:00 -
[OPENING TALK]2016年2月11日[木・祝] 17:00 - 19:00
[GALLERY TOUR]2016年2月20日[土] 15:00 - 19:00
[PERFORMANCE EVENT]2016年3月6日[日] 17:00 - 19:00
[CLOSING TALK]2016年3月21日[月・休] 15:00 - 17:00
>> イベント詳細

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この度NADiff Galleryでは、中ザワヒデキ展「ソースと実行」を開催いたします。
本展では2010年から2012年にかけて、中ザワヒデキがEメール機関誌『新・方法』誌上で発表したウェブ作品の連作「ソースと実行」を一挙総覧いたします。

「ソースと実行」の「ソース」とは、コンピューターに一連の指示を与える文書のことで、本作ではウェブページ用に開発されたHTMLと呼ばれる言語で書かれたソースが用いられています。私たちがブラウザでウェブサイトを開こうとすると、ソースに記された指示をコンピューターが「実行」することによって、ウェブページが表示されます。この時中ザワは、「実行」の結果として私たちが見るウェブページよりも、私たちが普段見ない「ソース」それ自体のほうが重要かつ本質的と考えました。つまり、コンセプトこそ作品なのです。これにもとづきHTML文書すなわち「ソース」と、そのブラウザ上での表示すなわち「実行」を併置したシリーズの作品として、「ソースと実行」全85作が制作されました。
(ソースと実行:一覧 http://aloalo.co.jp/nakazawa/newmethod/b00/j.html

ところで本展と会期が重なる第19回文化庁メディア芸術祭受賞作品展では、アート部門大賞受賞作としてChung Waiching Bryan作「50 . Shades of Grey」が国立新美術館で展覧される予定です。同作もコンピュータープログラムのソースが作品として提示されるものですが、同賞の審査委員を務めた中ザワが、自作と類似の思想による応募作の出現に驚き、同作を推挙した一人となりました。NADiff Galleryで行われる中ザワ展では、年代や国籍を超えた共通のアイディアによる普遍の美の顕現が、きっと、ご覧いただけるはずです。

中ザワは学生時代よりアーティスト活動を開始し、スタイル変遷を繰り返し現在に至ります。千葉大学医学部卒業後、数年間の眼科医勤務を経て1990年にイラストレーターとして独立、「バカCG」と呼ばれた日本初のへたうまコンピューターグラフィックスで人気を博しました。しかし1996年の3Dビットマップ関連資材の発明と特許出願を契機に、翌1997年には純粋芸術へ転身、肩書を美術家として文字や碁石等の記号を画素とする絵画を禁欲的に追究、2000年には詩人の松井茂、音楽家の足立智美の立ち会いで「方法主義宣言」を発表し、形式ではなく方法への還元による「方法絵画」の制作に邁進しました。その活動が終焉した2005年、禁欲を緩めて「本格絵画」と称しましたが、2010年には平間貴大、馬場省吾と「新・方法主義宣言」を発表、Eメール機関誌『新・方法』を刊行し、以後も多彩な活動を繰り広げています。本展開催中にNADiff a/p/a/r/t店内では、『現代美術史日本篇1945-2014』(アートダイバー/2014年)をはじめ、『近代美術史テキスト』(トムズボックス/1989年)、『西洋画人列伝』(NTT出版/2001年)など、美術史書として書かれた著作も取り上げ、中ザワの多岐に亘りながらも一貫した歴史観と芸術観の交差する場にアクチュアルに立ち現れる、理論と作品の振幅を紹介いたします。 展覧会期間中には、NADiff A/P/A/R/T 1階エントランスにあるNADiff Window Galleryにおいても「方法絵画小品展」を同時開催すると共に、本展・本作の理解を拡張するトーク、パフォーマンスイベントを連続開催いたします。是非ご参加、ご高覧下さいますようお願い申し上げます。
 


 
ARTIST STATEMENT :
コンピュータープログラムの実行結果よりも、ソースプログラムそれ自体が作品であるとかねてから考えていた。同様にウェブブラウザ上での実際の表示よりも、HTML文書それ自体が作品であると今も考えている。「ソースと実行」は、HTML文書すなわち「ソース」と、そのブラウザ上での表示すなわち「実行」を、併置し作品としたものである。
 


 
ソースと実行は簡単な二項対立ともいえ、
幽と体ともいえ、
ソシュールでいえばシニフィエとシニフィアンとも言える。
それは精神と肉体の対立であるし、
キリストは精神だが人間の体として生まれる=受肉するとか。
イデアと物質の話もある
結局、ベクターとビットマップの話でもあるし、
藝術特許でいえば、その特許と、その特許の出力とか。
版下と印刷の話とか。
そのような二項対立を簡単に出したのがソースと実行、と

みそむーおでん @misoni_2013 による中ザワヒデキ講義採録から(2015年11月25日 美学校にて)
 


 
協力:Gallery Cellar, アートダイバー
東京都写真美術館・第8回恵比寿映像祭 地域連携プログラム参加企画
 


 

●同時開催

NADiff Window Gallery vol.43
中ザワヒデキ「方法絵画小品展」
「タイル絵画」「右肩上がり」「金額」ほかをピックアップした小品展を開催いたします。
 


 

●EVENT

-[OPENING TALK]
2016年2月11日[木・祝]17:00 – 19:00 「ソース篇」

出 演:山本一彰(メディア芸術祭新人賞) / 松井茂(方法詩人) / 中ザワヒデキ
参加費:1,000円
* OPENING TALK終了後に展覧会レセプションパーティーを行います。
 
《山本一彰(メディア芸術祭新人賞)》
1991年生まれの山本一彰(やまもと・たかあき)の近作「算道」は、四則演算のみならずコンピューターと同等の論理演算を生身で行う「論理珠算」の発明とそのための構造であり、第19回文化庁メディア芸術祭にてアート部門新人賞を受賞した。中ザワは同賞審査委員として初めて山本の作品に接し、度肝を抜かれたことが、オープニング・トークへの出演依頼につながった。回生ブレーキを導入した自動車の自作や、粒子とピクセルの違いに着目した作品を制作している山本は、情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] メディア表現専攻を今春卒業予定である。(文責・中ザワ)
 
《松井茂(方法詩人)》
1975年生まれの松井茂は、2000年1月1日からの5年間、方法主義者として美術家中ザワと活動を共にした詩人である。ちなみに最初の2年間は音楽家足立智美、続く3年間は作曲家三輪眞弘との3名が「方法」の構成員であった。2015年11月27日、第19回文化庁メディア芸術祭の受賞発表直後、「山本くんの講評はやはり、中ザワさんだったか…」とのダイレクトメッセージが松井から中ザワに送られた。ウェブ掲載された山本一彰贈賞理由の執筆が中ザワであることへの反応だったが、聞けば、現在IAMAS准教授の松井が山本の論文副査、教授の三輪が主査だという。美術展監修や批評、メディア史研究も手がける松井だが、中ザワにとっては初対面となる山本と旧知の松井の組み合わせ鼎談として出演を依頼した。(文責・中ザワ)
 


 
[GALLERY TOUR]
2016年2月20日[土]15:00 – 19:00 作者による個展出品作閲覧と解説

出 演:中ザワヒデキ
参加費:500円
 
1頁で済む「ソース」もあれば400頁を越えるものもある。「実行」はインタラクティブで画面表示は毎回異なる。全85作を4時間かけて作者と閲覧ツアーする。
 


 
[PERFORMANCE EVENT]
2016年3月6日[日]17:00 – 19:00 「実行篇」

出 演:『メインストリーム』編集部(我々団)/ 新・方法(平間貴大、馬場省吾、皆藤将)/ 中ザワヒデキ
参加費:1,000円
 
《『メインストリーム』編集部(我々団)》
『メインストリーム』編集部は、革命家の外山恒一が率いる九州ファシスト党・「我々団」の下部組織である。2011年より芸術弾圧誌『メインストリーム』とその別冊『ラール・プール・ラール』を刊行、福岡を拠点に「創刊宣言」「芸術のための芸術=閉鎖病棟宣言」等をおこなっている。構成員は未来派の研究からファシストに転じた東野大地、ダダイズムの研究からダダイズムの実践に転じた山本桜子の二名。今回中ザワは、「この二名に依頼したらこうなったということでよい」「実際の出演は東野大地、山本桜子の二名であってもなくてもよい。上司・外山恒一のお出ましでも、あるいは都内の街宣活動でつかまえた若者でもよい」と言って、パフォーマンス・イベントへの出演を依頼した。(文責・中ザワ)
 
《新・方法(平間貴大、馬場省吾、皆藤将)》
新・方法主義者から成る「新・方法」は、2010年9月、平間貴大、馬場省吾、中ザワを構成員として結成された。2012年2月、中ザワが脱退、皆藤将が加入して、現在に至る。東京を拠点に6個の宣言や31個の「配信した作品」、展覧会、イベントをこれまでおこなってきた。中ザワの「ソースと実行」全85作は、寄稿と作品から成るEメール機関誌『新・方法』第1号~第16号誌上で発表されたものである。メインストリーム編集部の山本桜子は、現在の「新・方法」を「明晰で快活で些かの暗さもましてやルサンチもなく全く無理なく非人間的である(ように見える)」と分析した。今回中ザワは、「書店でのパフォーマンスを新・方法に依頼したらきっと本を買うだろう」との予想を口にすることなく、パフォーマンス・イベントへの出演を依頼した。(文責・中ザワ)
 


 
[CLOSING TALK]
2016年3月21日[月・休]15:00 – 17:00 作者による著作を巡る講演

出 演:中ザワヒデキ
ゲスト:千葉成夫
参加費:500円
 
『現代美術史日本篇1945-2014』をはじめとする、『近代美術史テキスト』、『西洋画人列伝』など、過去に発表された著作を取り上げ、中ザワにとっての芸術理念を反映する行為の範疇にある執筆活動についてを語ります。また、発売延期となった新刊作品集についての展望についてもうかがいます。
更に、トーク後半には美術評論家の千葉成夫氏にご登場頂き、本展「ソースと実行」について、そして両氏の現代美術史観について等、テーマを様々に広げて対話していただく予定です。
※トーク終了後サイン会
 


 

●同時開催展覧会

第8回恵比寿映像祭「動いている庭」
2016年2月11日[木・祝] — 2月20日[土]

会 場:ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンシネマ、日仏会館、ほか、恵比寿周辺アートギャラリー、スペースなど
WEB:http://www.yebizo.com
 
-恵比寿映像祭関連企画・ラウンジトーク
2月17日[水]  13:45 – 14:45
出演:中ザワヒデキ
会場:ザ・ガーデンホール 3F(恵比寿)
 
恵比寿映像祭において、中ザワヒデキがイベント「ラウンジトーク」に登壇いたします。NADiff Galleryでの中ザワヒデキ展「ソースと実行」についてを中心に、近年の中ザワの作品についてもあわせてご紹介させて頂きます。
http://www.yebizo.com/#pg_talk7
 


 
[第19 回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展
2016年2月3日[水] — 2月14日[日]

会 場:国立新美術館(東京・六本木)ほか
WEB:http://festival.j-mediaarts.jp/exhibit/outline

中ザワヒデキがアート部門の審査委員を務め、大賞のChung Waiching Bryan 氏との対談が2月5日18:30 から予定されています。イベント出演者の山本一彰氏はアート部門新人賞を受賞し、出展のほかパフォーマンスが2月13日と2月14日の11:00と14:00からそれぞれ予定されています。
 


 

●Profile

中ザワヒデキ Hideki Nakazawa 
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日本人男性美術家。1963年、新潟県生まれ。千葉大学医学部 在学中の1983年よりアーティスト活動を開始(第一期:アクリル 画)。卒業後眼科医となるも1990年、絵筆をコンピューターの マウスに持ち替えイラストレーターに転身(第二期:バカCG)。 1997年、CGの画素を文字等の記号に置き換え純粋美術家に 転身(第三期:方法絵画)。2006年、方法主義では禁じていた 色彩を再び使用(第四期:本格絵画、新・方法、他)。宣言「方 法主義宣言」「新・方法主義宣言」。特許「三次元グラフィックス 編集装置」「造形装置および方法」。著書『近代美術史テキスト』 『西洋画人列伝』『現代美術史日本篇1945-2014』。CD『中ザワヒデキ音楽作品集』。95年度マルチメディアグランプリMMAアーティスト賞。VOCA2003奨励賞。第19回文化庁メディア芸術祭審査委員
 
WEB: http://www.aloalo.co.jp/nakazawa/