奥山淳志『庭とエスキース』出版記念 弁造さんのエスキース展&写真展「弁造Benzo」

会 場:NADiff modern (2F Gallery)
会 期:2020年1月9日(木)— 2月2日(日) 前期「弁造さんのエスキース」展
    2020年2月4日(木)— 3月8日(日) 後期 奥山淳志「弁造Benzo」写真展

 
●EVENT
トーク&スライドショー<『庭とエスキース』出版記念トーク>
出 演 : 奥山淳志
日 時 : 2020年1月12日[日] 18:00 – 19:30

>>イベント詳細

  • benzo#25

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  • エスキース展資料1

    エスキース展資料1
  • L1560949

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  • エスキース展資料2

    エスキース展資料2

 

●概要

 
 
他者にカメラを向けることで “生きること” に近づけるのではないか。そう思っていた写真家である著者の奥山淳志が出会ったのは、北海道で小さな丸太小屋に暮らし、自給自足の生活を営む「弁造さん」でした。以来、著者は季節の移ろいを追うようにして、糧を生み出す美しい庭を育みながら、絵描きになる夢を抱き続ける「弁造さん」を14年間に渡り取材を続けました。本書「庭とエスキース」には、「弁造さん」の “生きること” を思い紡いだ物語と写真が綴じられています。
本書の刊行を記念して、NADiff modernでは「弁造さん」の描き遺したエスキースと、奥山淳志が撮影した「弁造さん」のポートレートを、前期・後期の二部構成で展覧いたします。
 
 
 
 
いつまでも完成しない絵を描き続ける。僕が弁造さんを見つめたのは、1998年から2012年までの14年間でしたが、弁造さんという人はいつもそうでした。ひと部屋しかない小さな丸太小屋のなかでイーゼルに向き合い、女性をモチーフにした“エスキース”ばかりを描き続けました。南国を思わせる木陰で横たわる裸の女性。自慢の髪をかきあげる女性。何気ないひとときを過ごす母と娘。北海道で畑と森からなる「庭」を作って自給自足の生活を続け、生涯を独身で過ごした弁造さんがなぜこのような縁もゆかりもない女性たちを描き続けたのか。それは僕にとって、“弁造さん”を知るうえで欠かすことができない問いかけでした。
 しかし、弁造さんは女性たちを描く理由を語らぬまま、92歳の春にプイと逝ってしまいました。でも、だからなのでしょう。弁造さんが逝ってしまって7年の月日が流れた今日であっても、僕は新たな想像を抱くことを許されます。鮮やかな向日葵色をまとった女性たちのおしゃべりに耳を傾け、弁造さんの胸の内を思い描き、そのたびに新たな弁造さんから“生きること”の奥深さを見つけるのです。
 弁造さんがいなくなってしまった丸太小屋にはたくさんのエスキースが遺されていました。その一枚一枚に描かれた筆跡を辿りながら、弁造さんの“生きること”から放たれている光の綾を一緒に感じていただけますように。
2019年 4月
写真家 奥山淳志

 


 

●EVENT

 

『庭とエスキース』出版記念トーク&サイン会

出 演:奥山淳志
日 時:2020年1月12日[日] 18:00 – 19:30
場 所:Bunkamura地下1階 ドゥ マゴ パリ テラス
定 員:40名

 
サイン会対象:事前に「庭とエスキース」(みすず書房)をはじめ、私家本写真集「庭とエスキース」をナディッフモダンにてご購入頂いた方を対象とさせていただきます。

イベント参加券:コーヒーつき・・・1700円(税込)
発売日:12月12日(木)10:00~
お申込み方法:①. ONLINESHOPにてクレジットカードでのお支払い >>NADiff ONLINESHOP
       ② ナディッフモダン店頭にてお支払い

※屋外での開催のため、暖かい服装でお越しください。
※雨天の場合、屋内の特設会場で開催いたします。



写真家である著者は、北海道の新十津川の丸太小屋に暮らす弁造さんの姿を14年にわたり撮影しつづけた。弁造さんは、がむしゃらに経済発展を続ける戦後の日本社会に疑問符を投げかけるかたちで自給自足の生活を営み、独自の美意識にしたがって庭をつくり上げていた。自力で掘った池、「自給自足は楽しくなければならない」と植えた果樹や野菜、風景に季節の色彩をもたらす木々や草花に彩られた、豊かな庭。知恵とユーモアにあふれる弁造さんと弁造さんの庭に心を奪われ、季節が変わるごとに丸太小屋を訪ねるうち、著者は、弁造さんにもう一つの姿があることを知る。十畳ほどの小屋の中央に置かれたイーゼルに向かって、弁造さんは筆を動かし始めるのだ。「社会的なメッセージとは全く無縁なものとして、弁造さんは絵を描いていた。…僕は何かに導かれるように、弁造さん、庭、絵という三つを見つめることになった」。生涯独身だった弁造さんはなぜ庭に木を植え続けたのか、そしてなぜ女性たちの絵を描きつづけたのか……。弁造さんの死後、時が経つほどに鮮やかさをます「あの日のこと」。

弁造さんのことを想うこと。1998年に弁造さんと出会ってから今日まで、呆れるほど繰り返してきたことがそのことでした。畑と林からなる庭を作り、完成しない絵を描き続ける「弁造さんの生活」。それは僕にとって“生きること”を問いかける言葉でもありました。僕は弁造さんの日々が放つ人生の光を浴び続けてきたのかもしれません。
弁造さん、そしてあの美しい庭や描き遺されたエスキースについてお話させていただきたいと思っています。
写真家 奥山淳志

 


 

●書籍紹介

「庭とエスキース」

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弁造さんの「生きること」を想い、濃やかな筆致で綴られた寓話のような24篇の文章と40点の写真。昨年、写真集「弁造 Benzo」とその展覧会で話題を呼んだ写真家による心揺さぶる写文集。

版元:みすず書房
発売日:2019/4/16
仕様:A5判変形並製
頁 数:328頁
価 格:3,200円(税抜)
 
  
 


 

●Profile

弁造さんプロフィール写真
井上弁造(1920-2012)
「大正9年 北海道総富地(そっち)に生まれ、数え年7歳で総富地尋常小学校に入学。16歳で中徳富(なかとっぷ)高等小学校を卒業。その後は家事を手伝う。父は農産物検査員の傍ら小作農を営む。19歳の春に現在地(当時は作り枯らしの荒地)に入植。自分は夏、農業の手伝い、冬は叔母の家のある東京で洋画を学ぶ。戦中、兄と弟が兵役、自分は2ヶ月の教育招集で家を守って終戦を迎える。戦後は出稼ぎや日雇いと忙しく絵を描く時間も少なく70歳で体調を崩す。今88歳、もし一度個展をひらくことが出来たら幸いです」(2009年、当時88歳の弁造さんが自らの略歴を記す)

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奥山淳志(おくやま・あつし)
1972年大阪生まれ,奈良県育ち.京都外国語大学卒業後,出版社に勤務. 1998年岩手県雫石町に移住し,写真家として活動を開始.以後,東北の風土や文化を撮影するほか, 人間の生きることをテーマにした作品制作をおこなう. 受賞歴に2006年「Country Songs ここで生きている」でフォトドキュメンタリーNIPPON2006,2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞,写真集『弁造 Benzo』および個展「庭とエスキース」(ニコンサロン)で2018年日本写真協会賞・新人賞, 2019年第35回 写真の町 東川賞・特別作家賞がある。2019年『庭とエスキース』(みすず書房)を上梓。
奥山淳志


 

●お問い合わせ

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150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1Bunkamura B1
TEL. 03-3477-9134

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