梅沢和木 個展
「Beyond the Windows」

定休日:月曜日(7月17日は祝日のため営業、翌18日(火)休み)

営業時間:12-20時

 


スライド1枚目:《DEMONOPHOBIA》スライド2枚目:《Full Flavor》スライド3枚目:《Ar》
全て 制作年 2023年

●概要

この度、NADiff Galleryでは、梅沢和木の個展「Beyond the Windows」を開催いたします。梅沢和木は、ツイッターやニコニコ動画が広く認知された2008年頃より、インターネット上のキャラクター画像などを大量に収集し、断片をコラージュし再構築した画像に、絵具などで加筆をする手法で作品を制作しています。発表初期よりキャラクターの絵画を現代美術の文脈に結び付けアートシーンで注目を集めてきました。凄まじい密度と膨大なアニメやゲームのキャラクター画像などで構築された画面が、現実と仮想世界の境界が曖昧となった現代の価値観や思想を表出させるような梅沢の作品は、個展での発表のみならず、美術館での企画展にも選出され、多くの批評を生んできました。

「Beyond the Windows」と題した本展では、ディスプレイの向こうに存在するアニメやインターネットゲームなどのキャラクターを用いて表現された最新作をご紹介いたします。これまでインターネット上に現れる様々な風景や画像も扱ってきた梅沢ですが、もとよりあるキャラクターへの強い愛着から、近年再びキャラクターに比重を置いた作品を数多く制作しています。2000年代よりキャラクターと深く繋がり、現代美術の中でのキャラクター表現を考察する作家の最新作を会場にてご高覧ください。

また本展にあわせて、梅沢が2010年よりコラボレーションを⾏っている、デザイナー鈴⽊淳哉・佐久間麗⼦によるファッションブランドchlomaとの最新コラボレーションTシャツをリリースいたします。本展のために制作されたNADiff限定Tシャツで、本展の出展作品がプリントされています。ぜひあわせてお楽しみください。

協力=CASHI


「展覧会の文章」
展覧会に行くと文章が会場に貼られている場合が多い。この文章はまさにそれで、制作者である梅沢和木本人が書いている。最初の個展(2009年の「エターナルフォース画像コア」)では書いていなかった。その次も次の次も書いていない。自分の個展について文章を書くのはここ2、3年でやり始めたことだ。それは初期の頃から自作について文章、批評や論評を書く人間に恵まれていたということであり、同時に自分自身について文章を書く機会を少しづつ失っていたということでもある。
そもそも、作者が自分の作品について文章を書くという行為は批評や論評とは何が違うのか。コンセプトやステートメントと、エッセイやお気持ちテキストは何が違うのか。自分の中でいまだに答えが出ていないのが正直なところだ。しかし多くの場合、作家が個展あるいはグループ展を開催する際に展示の入り口に貼ってある文章は、その答えが正に出ているかのように書かれる。時に、そのテキストは実際に展示されている作品や空間と本当に関係があるのかと疑問が浮かぶほど抽象的である場合でも、作家の文章というのはある一定以上の信頼を担保された上で書かれ、読まれる。自分はそういった文章を「この文章は、本当に展示内容や作品と関係があるのだろうか」と常に疑問に思いながら読んでいる。そうして様々な展示や文章を読んできてわかったのは、展示内容と文章の間にズレがあったとしても、そのズレが結果的に作品や展示を深読みさせるフックとなり、時には深い体験のようなものへと繋がることさえあるということだ。むしろそのようなズレを積極的に利用した文章ほど、批評的だとされ評価が高い場合も多い。
展覧会における文章は、必ずしも展示内容に寄り添ったり解説していなくても良いのかもしれない(もちろん、そういった文章を否定しているわけではない)。なぜこのような前書きを書いたのかというと、今回の個展では悩み考えながらも作品自体は比較的スムーズに制作出来たが、ステートメントやタイトルが出来るまでにかなり時間がかかってしまったことに関係している。端的に言えば「なぜ今キャラクター画像を扱うのか」についての文章なのだが、自分の状態や状況が関連しているからか、前置きがないと耐えられなかった。以下が今回の文章である。

「キャラクター画像と当事者性」
自分がなぜキャラクターの画像を用いた作品を作り続けているのか、改めて考えている。単純に述べるならば自分がいわゆるオタクで、アニメや漫画やゲームが好きで、そこに登場するキャラクターが好きで、関連した画像をインターネットで収集するのが好きだからだ。厳密に言うとキャラクターに関連したデジタルコラージュだけでなく、風景や写真など、俗にいう三次元的なモチーフも作品内で扱ってはいるのだが、最近はキャラクターに特化した造形の作品を制作することが特に多い。今回の個展でもほぼすべてがそういった作品になっている。美術という枠組みで言えばキャラクターの表象を扱った作品というのは、特に国内においては一昔前に比べると圧倒的に一般的になり、それを扱うことは最早特別でも何でもない普通の取り組みになっていると言っていいだろう。しかし、キャラクター表現*が本当に一般的になったかというと違う。オタクっぽい表象というだけで興味を持たない態度のほうがむしろまだ多数派だろう。キャラクター表現はマイナーでも一般的でもない、なんとも中途半端な位置に立たされていると言える。
そんな状況だからこそ改めて思うのが、キャラクターにしか興味が持てない人間と、その当事者性についてだ。この人種にはグラデーションがある。生身の人間にまったく興味が持てず、二次元のキャラクターしか眼中にない人種はかなり限られるだろう。しかし、生身の人間にも惹かれないわけではないが、キャラクターに対してより強く感情が動くタイプの人種ならけっこうな数がいる。俗にオタクと呼ばれる人種の中にも、様々な振れ幅がある。時にキャラクターを扱った表象は美術の枠組みの中で、この種の人々を置いてけぼりにして資本に傾いて作品展開がされていると批判されることがままある。オタク表現の植民地化と言っても良い。
自分は、キャラクターに本当に人生を狂わされてしまったような人間には、そこにしかない当事者性があると考えている。自分も、そのような意識を持っているからこそ作品制作を行っている。展覧会を見に行くときも、ある種同族とも思えるような作家をついつい見に行ってしまう。それだけではあまりに偏りが生まれてしまうので、現実の事象を扱った作品も見に行くのだが、そういった鑑賞体験も結局は自分のキャラクター表現に反映されていくのだなという実感がある。
ここまで、キャラクター表現と当事者性という言葉で色々書いてきたが、「当事者性」という言葉に違和感をもつ人もいたのではないだろうか。「当事者性」という言葉は、様々な現実の事件、または災害で起きた被害などの事象に対して扱われることが多い。私自身、そういった前提を踏まえた上で扱っている言葉だ。しかし、この文章における「当事者性」は、キャラクター表現という虚構のコンテンツにより、文字通り人生を救われたり、並々ならぬ感情を抱いてしまった人々の「当事者性」を指している。そして自分は、キャラクター表現に対して強烈な当事者性を持った作家が、適切に肯定および評価されて欲しいと考えている。それは、改めて自身の作品を肯定したいという素朴な動機に過ぎないと言えば、そうだ。現状の、特に美術の世界でそれがなされているかというと、疑問が残る。この問題は自分自身の作家活動や表現とも直接関係があり返ってくることなので、正直うまくこの文章を結論付けられる自信がまだない。数多の文脈との接続可能性を一旦脇に置き、自身の考えを整理する意味も踏まえてこの文章を書いている。それは、自分がPhotoShopで制作する際まず画像素材を一旦整理する、その行為に近い。

梅沢和木

*ここでいう「キャラクター表現」とは、人間の形態を模したキャラクターを用いた表現を主に指している。人間ではない、動物やモンスター、ロボット、無機物など、様々なキャラクター表現が存在しているが、私の当事者性としては人間の形態を模したキャラクターに意識が向かっているので、そこについて主に言及している。キャラクター表現の中でも様々な多様性があり、それぞれの当事者性がある。そのことにも感心はあるので、個展とは別の形式で何か展開したいと考えている。


●梅ラボ × chloma NADiff限定Tシャツ

 

画像はイメージです。

2010年よりコラボレーションを行ってきた梅沢和木と鈴木淳哉・佐久間麗子によるファッションブランドchlomaの最新コラボTシャツ。本展のために制作され、出展作品をプリントに落とし込んでいます。

●梅ラボ × chloma NADiff限定ハーフスリーブTシャツ
サイズ: M / L
素 材:cotton 100%、DTFプリント
色 :ライトブルー、ブラック
価 格:¥7,700(税込)
発売日:2023年7月6日12時
NADiff a/p/a/r/t店頭とオンライン(OIL by 美術手帖NADiff Online)にて販売開始

※在庫がなくなり次第販売を終了とする場合がございます。

●【予約販売】梅ラボ × chloma NADiff限定 ラメ&クリアプリント入りロングスリーブTシャツ
サイズ: M / L
カラー: ホワイト、ブラック、パープル
素 材:cotton 100%、DTFプリント、シルクスクリーンプリント
価 格:¥19,800(税込)
限定30着
お届け予定:9月上旬
NADiff a/p/a/r/t店頭予約受付期間:2023年7月6日12時~7月30日20時
オンライン(OIL by 美術手帖NADiff Online)予約受付開始:2023年7月10日12時~7月30日20時。
※オンラインの予約ページのリンクは受付開始日時に公開いたします。
上限に達し次第受付を終了いたします。

●【5着限定】梅沢和木のペインティング加筆入り特別版
梅ラボ × chloma NADiff限定 ラメ&クリアプリント入りロングスリーブTシャツ

サイズ: M / L
カラー: ホワイト、ブラック、パープル
素 材:cotton 100%、DTFプリント、シルクスクリーンプリント、梅沢和木のペインティング加筆
価 格:¥55,000(税込)
限定5着
※こちらのアイテムは店舗限定受注販売となります。
店頭受注期間:2023年7月6日12時~7月30日20時
※お届け時期は、確定次第こちらのページでお知らせいたします。
上限に達し次第受付を終了いたします。

chlomaについて
テクノロジーと人、キャラクターと人、インターネットと人との関係を考え、モニターの中の世界とリアルの世界を境なく歩く現代人のための環境と衣服を提案する、鈴木淳哉と佐久間麗子によるファッションレーベル。
chloma.com


●プロフィール
梅沢和木|Kazuki Umezawa

1985年埼玉県生まれ。2008年武蔵野美術大学映像学科卒業。
インターネット上に散らばる画像を再構築し、圧倒的な情報量に対峙する感覚をカオス的な画面で表現する。CASHI所属。

2023年「Everlasting Particle CORE」(HARMONY ART GALLERY / 上海)
2020年「黒の夢」(CASHI / 東京)
2021年「画像・アラウンドスケープ・粒子」(RICOH ART GALLERY / 東京)
2019年「百年の編み手たち−流動する日本の近現代美術−」(東京都現代美術館)、
「Tokyo Pop Underground」(ジェフリー・ダイチ・ギャラリー / ロサンゼルス、ニューヨーク)
2018年「Hyper Landscape 梅沢和木×Taku Obata」(ワタリウム美術館 / 東京)
など、個展・グループ展多数。
WEBサイト


●展⽰作品の販売について

7⽉6⽇(⽊)12時より店頭又はCASHIより抽選販売お申込みのURLをご案内します。


●お問い合わせ

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NADiff a/p/a/r/t
150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
TEL. 03-3446-4977
定休日:月(祝日の場合は翌日火曜休み)
12時~20時
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