吉増剛造「瞬間のエクリチュール」

月曜日定休※月曜が祝日の場合は翌日/7月30日[土]臨時休業

EVENT
2016年7月1日[金] 19:00 - 21:00
2015年7月7日[木] 19:00 - 21:00
>> イベント詳細
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この度NADiff Galleryでは、詩人・吉増剛造(1939-)の『瞬間のエクリチュール』(edition.nord刊)の出版を記念した展覧会を開催いたします。

日本を代表する先鋭的な詩人のひとりである吉増剛造。詩の朗読パフォーマンスの先駆者としても知られ、国内のみならず海外でも積極的に朗読ライブを行っています。また、詩という枠組みを超えて、写真、立体、映像など、複数のメディアを横断しながら精力的な創作にも取り組み、様々なアーティストとのコラボレーションも多数行うなど、文学の世界においては異端ともいえる先駆的な創作活動を60年代以降から今日に至るまで盛んに行っており、次世代にも大きな影響力をもっています。

edition.nordから刊行される吉増剛造『瞬間のエクリチュール』は、1999年から撮影が開始された〝詩作品としてのポラロイド写真〟を纏めた少部数制作のエディション作品です。旅先で撮影されたポラロイド写真と、即時的に書き綴られた言葉が重なりあう作品群は、2000年初頭から週刊誌「アサヒグラフ」の連載において発表されました。それらのポラロイド作品全74点を、edition.nordが最新の印刷・加工技術を用いてオリジナルに忠実に複製し、一葉の作品の中にあるイメージと言葉の様態を、さらには吉増作品の言葉の物質性を、生々しく感覚させる印刷物として完成させました。

本展では、edition.nordのデザイナー・秋山伸による会場構成で吉増剛造『瞬間のエクリチュール』に収録されるオリジナルのポラロイド作品全74点を展覧すると共に、通常版 吉増剛造『瞬間のエクリチュール』(初版300部)の販売、ならびに特別版 吉増剛造『瞬間のエクリチュール』(限定30部)の先行販売を行います。特別版は著者直筆のカリグラフィーが付属し、各作品ごとに異なる絵柄の中からお好きなものをお選び頂けます。

また、会期中には吉増剛造による朗読パフォーマンス、ならびにゲストを招いたインストアのトークイベントも開催予定です。

協力:edition.nord


edition.nord 解題 :
1999年秋、それまで写真展を数度開催していた吉増剛造に、ポラロイド写真による展覧会の企画がもちこまれた。吉増は快諾し、〝詩作品としてのポラロイド写真〟の試みがスタート。間もなく吉増はポラロイド写真裏面の黒地に、白や金、銀のペンを用いて文章を綴り始めた。
この試みは『瞬間のエクリチュール──吉増剛造ポラロイド日記』と題され、2000年初頭から週刊誌「アサヒグラフ」で連載されることになる。ポラロイド写真2枚にテキストを添えた、カラー1ページの誌面であった。
撮影直後に書かれた生の言葉は、ポラロイド写真の即時性に対応するかのように、推敲をほとんどしない状態で発表された。「飾るひまのない状態で書いた言葉」をそのまま発表することは、推敲に推敲を重ねる吉増には非常に稀有なことで、吉増の制作に異なる局面をもたらした。その後のnakedwritings(教材等として配布される手書きメモ)などにも影響を与えたと考えられる。
また、カメラからフィルムが飛び出してくるときの大きな音や様子、裏の黒地に筆記するときのツルツル滑っていく触感にも触発されたことを、吉増は当時、しばしば語っていた。 ここにおさめた作品は、ほとんどが旅先で撮影されている。生活拠点の一つであったアリゾナ、朗読やパフォーマンスなどで訪れたフランス各地、毎冬滞在していた石狩、宮沢賢治の故郷・花巻、そして30年にわたって旅を続けている奄美、沖縄……。詩やエッセイを書き、朗読やパフォーマンスを行い、大学等で講義をするといった活動の背景にある、通常では表に出ることのない心の底を映し出すような連載となった。
連載は雑誌の休刊に伴い37回で中断。
2002年にはこれらの74点に撮り下ろし作品を加え、『瞬間のエクリチュール──吉増剛造ポラロイド写真展』を開催した(於:ポラロイド・ギャラリー)。
なお、旅の道連れとしてしばしば登場するカチーナドールは、ネイティブアメリカンのホピ族が信仰する精霊を象った木彫りの人形である。

本エディションは、吉増剛造が1999年末から2000年秋にかけて制作したポラロイド写真作品のうち74点を、現在の日本における最新の印刷・加工技術により複製したものである。


●EVENT

-OPENING EVENT「ポラ/裏側ノ光」
日 時:2016年7月1日[金] 19:00-21:00
出演者:吉増剛造
秋山伸(グラフィック・デザイナー / edition.nord)
桜井裕子(編集者)

会 場:NADiff a/p/a/r/t 1F店内
入 場:1,000円
定 員:50名

-TALK EVENT「タンサクスルメ」
日 時:2016年7月7日[木] 19:00-21:00
出演者:ホンマタカシ(写真家)
吉増剛造

会 場:NADiff a/p/a/r/t 1F店内
入 場:1,000円
定 員:50名

▼ご予約は以下のメールフォームよりお願いいたします。お電話(03-3446-4977)でも承っております。


●新刊情報

-吉増剛造『瞬間のエクリチュール』
通常版・特別版 2016年7月1日刊行
発 売:edition.nord

吉増剛造が1999年末から2000年秋にかけて制作したポラロイド作品74点のレプリカのボックスセット。ポラロイドはサイズ、色彩はもとより、紙の弾力、表面の光沢まで再現され、その上の筆跡はマーカーペンのインクの厚みまでも感じさせるような仕上がりになっています。写真と言葉が溶け合う奇跡的な作品群……吉増剛造の詩的オブジェをどうぞ体感して下さい。

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[通常版] サイズ:箱[150mm×225mm×28mm]入り
形 式:ポラロイド作品原寸複製物/74枚
抽出テキストによる冊子:モノクロ80p
仕 様:箱[150mm×225mm×28mm]入り
部 数:初版300部
価 格:8,500円+税

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[特別版] NADiff a/p/a/r/t先行発売
内 容:通常版+著者の直筆カリグラフィー付き
仕 様:カリグラフィー[透明板115mm×160mm] ※著者直筆のカリグラフィーの絵柄は全て異なります。
部 数:限定30部
価 格:15,000円+税

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●同時開催展+近刊情報

吉増剛造の約50年におよぶ創作活動を広く紹介する回顧展「声ノマ 全身詩人、吉増剛造」(2016.6/7-8/7)が、東京国立近代美術館において開催されていると共に、これまでの業績を振り返る詩集や自伝、連載エッセイ等々、多数の著作がこの時期に相次いで出版されることでも広く話題を呼んでいます。あわせてご注目下さい。

「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」
2016年6月7日[火]-8月7日[日] 会場:東京国立近代美術館(東京・竹橋)
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/yoshimasu-gozo/#section1-1

吉増剛造・近刊一覧
『我が詩的自伝 素手で焔をつかみとれ!』講談社
『心に刺青をするように』藤原書店
『GOZOノート』第一巻、二巻、三巻 慶応義塾大学出版会
『怪物君』みすず書房
『根源乃手』響文社(2016年7月刊行予定)


●Profile

吉増剛造 Gozo Yoshimasu
1939年東京生。詩人。大学在学中から旺盛な詩作活動を展開、以後先鋭的な現代詩人として今日に至るまで内外で活躍、高い評価を受ける。評論、朗読のほか、現代美術や音楽とのコラボレーション、写真などの活動も意欲的に展開。文化功労者、2015年日本芸術院賞・恩賜賞、日本芸術院会員

edition.nord エディション・ノルト
グラフィック・デザイナーの秋山伸が主宰するパブリッシング・レーベル、edition.nordは、インディペンデントに企画、編集、出版を行いながら各アーティストとの協働作業でユニークな出版活動を行う。
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秋山伸 Shin Akiyama
東北大学建築学科卒業。東京藝術大学建築専攻修了。90年代より芸術・デザイン・批評に関するグラフィックを数多く手がける。2010年末、東京から故郷の新潟に移住し、自社edition.nordをベースにデザイン・出版活動を続けている。
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