河原 温　…に関する《書物》

1998年1月25日（金）− 3月1日（日）

河原温は、日付絵画 "Today" シり一ズをはじめ "I Am Stil1 Alive"、"I Got up at" などのシリーズで国際的に高く評価されているアーティストです。ストイックで抽象度の高い表現をを用いながら、時間と空間の本質をを鮮明な存在として提示し続ける活動は、西欧的な美術の枠組みを越えて、独自の表現領域を開示しているといえるでしょう。そうした活動と平行するように、河原温に関する数多くの「書物」が出版されてきています。それらの「書物」は、しばしば一般的な作品集の域をこえて、アーティスト自身の作品や考え方を、「書物」という古典的でありながら、極めて戦略的でもあるメディアへ転位させたものということができます。

自らの個展会場にさえ姿を現さないといわれる伝説の中で、河原温の作品とその読み取り、作家と作品展示を担う主体との行き来の過程で生成された妥協なき記録、また自身の関与した「書物」など、形態や編集に様々な試みを含んだ多様性は、河原温作品の文化や社会を通底する拡がりを示しているといっても過言ではありません。ナディッフでは、現在では目にすることの困難な、1959年日本において「印刷絵画」を試みた小雑誌から日付絵画へのプロセス、概念芸術として作成されたもの、未発表のドローイングを掲載したカタログ、1997年の最新出版にあたるものまでの、河原温に関する「書物」を集め展示いたします。

◆ギャラリートーク【河原 温の仕事】
講師：峯村敏明（美術評論家／多摩美術大学教授）1998年1月31日（土）午後3時
講師：南雄介（東京都現代美術館学芸員）1998年2月14日（土）午後3時