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 ■アーティストトーク:2004年3月13日[土]午後3時〜出演:立花英久(バーナーブロス)、立花文穂(バーナーブロス)、久家靖秀(写真家)
 
 立花文穂は、ナディッフにおける2000年2月の展覧会『体(からだ)』と、同年末から新年にかけて開催された『クララ洋裁研究所』で、緊帳感のあるインスタレーションを披露して注目されました。3年ぶりの登場となった今回は、CFなどの演出に携る兄・立花英久とともに起ち上げたブック・レーベル「バーナーブロス(BURNER 
                  BROS.)」で手掛けた写真集、「画家/濱坂銕也遺作集」(2003年2月刊行)が題材です。
 戦後間もない時代は、美術の価値基準が大きく揺れ動き、美術界が混乱を極めた時代でした。その真っただ中を生き抜いた濱坂銕也の作品からは、近代日本が奨励し自らも目指していたはずの西洋絵画の語法と、西洋絵画では捉えることができない日本的メンタリティーとが攻めぎ合う、この時代の画家のあり様が痛烈に伝わってきます。友人の父である濱坂銕也の遺作集の相談を受けた「バーナーブロス」の立花英久と立花文穂は、東京・吉祥寺に残る濱坂銕也の家を訪れ、時が封じ込められたかのような絵描きの家とその作品に遭遇しました。
 
 
                   
                    |  濱坂銕也氏の絵を、そしてなによりも彼の棲まっていた家を見てゆくと、彼は、一体、何を「見て」いたのか、そのヒントがひそんでいるような気がする。部屋の隅に転がった、木片の小さなネジ穴の中や、庭の、赤い花の根の埋まった土の中や…。
 そして、それらを「見て」もらいたいために、「写真」という行為で提示することも、たいへん意義深いことだと感じている。
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                    |  | こんな人が、       こんな家に住んで、
 こんな絵を描いていた。
 立花英久(バーナーブロス)
 |  写真集「画家/濱坂銕也遺作集」の制作にあたり「バーナーブロス」は、写真家・久家靖秀を迎えました。時代の空気感を留めている主人なき家、画家の執着と葛藤が閉じ込められたアトリエ、そして作品。「遺作集」は、写真だからこそ捕らえることのできた濱坂銕也の世界が、立花文穂によって編集構成され、ディレクションを担当した立花英久によってまとめ上げられています。ナディッフの展覧会『画家』では、立花英久、立花文穂、久家靖秀の3人によって目撃された濱坂の世界が、ひとたび「遺作集」から解き放たれ、ギャラリーという空間の中で再構築されます。日本は、西洋絵画を受け入れるにあたり極めて特殊なプロセスを踏んできましたが、濱坂銕也はまさにその時期を生きた典型的な画家の一人と言えます。今回のインスタレーションに触れた人は、そうした時代に美術を志した『画家』の世界の目撃者となり、『画家』と自分との間に生じるイメージを共有することができるでしょう。□企画構成/バーナーブロス、□写真/久家靖秀、□絵画/濱坂銕也
 
 ■プロフィール
 
 濱坂銕也 はまさか・てつや
 1936年 兵庫県生まれ
 1951年 武蔵野市立第一中学校卒業
 1954年 教育大付属駒場高校卒業
 1959年 東京芸術大学美術学部油絵科卒業
 1961年 3人展
 1963年 多摩工業高校美術講師(〜1964年),国文寺第一中学校美術講師(〜1969年)
 府中幼稚園児童画教室(〜1994年)
 1965年 個展/銀座櫟画廊,戯画会展/新宿椿近代画廊
 1967年 京子と結婚,本多児童画教室(〜71年)
 1969年 長男達朗誕生,西荻楽院美術講師(〜1998年)
 1971年 長女陶子誕生
 1973年 四つの風景展/銀座画廊ノバ
 1975年 次女尚子誕生,金子光晴とその仲間の画展/ギャラリーワタリ
 1976年 個展/銀座櫟画廊
 1978年 個展/銀座櫟画廊
 1999年 9月14日永眠
 BURNER BROS. バーナーブロス
 1998年 兄・立花英久と弟・立花文穂とでブック・レーベル「BURNER BROS.」を起ち上げる。
 「紙々」「火々」をそれぞれ700部限定出版(入手不可)。
 2000年 「クララ洋裁研究所」1,000部限定出版(入手不可)。
 2002年 松田優作13回忌追善公演「水銀」(原作/松田優作)で、
 脚本・演出を立花英久、宣伝美術を立花文穂が担当。
 2003年 「画家/濱坂銕也遺作集」限定出版。
 出版、広告、映像制作などを手がけるクリエイティブ・ユニットとして幅広く活動。
 現在、今春発売予定の久家靖秀写真集(青幻舎)の編集、デザインが進行している。
 久家靖秀 くげ・やすひで
 1962年 生まれ。東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)卒業。
 1990年 フリーランスとして、主に雑誌を中心に活動。
 2001年 阿佐ヶ谷のギャラリーカフェ「西瓜糖」にてシリーズ個展「交叉・配列」を開始。
 2003年 個展「MIDLIFE PROCESS」(T&Sギャラリー)
 ○連載
 AXIS「庭からの視線」 2000年〜
 IDEA「壁紙」(立花文穂氏と) 2001年〜
 MR HIFASHION「stu diou」 2002年〜
 ○関連書籍および記事
 「Aliens」円谷プロ 1996年
 「クララ洋裁研究所」立花文穂 2000年
 「絶対速度」ホンダ 2001年
 「調理場という戦場」斉須政雄 2002年
 ○掲載その他
 1999年 SWITCH「CLINIC」、IDEA「CLINIC」
 2000年 BT「スーパーフラット・ランドスケープ」
 ICC「サウンドアート Sound Art-Sound as Media」展 Photo Document
 2001年 デザインの現場「Printing」
 インターコミュニケーション「NEW WORLD NEW DAY to see」
 インターコミュニケーション「Gerhard RICHTER」ATLAS+久家靖秀
 2002年 資生堂ギャラリー「not so smooth」展 カタログ
 ICC「芸術と医学 Art and Medicine-medicine as Metaphor」展 Photo 
                  Document
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