山口 晃　挿画 ［菊 燈 台］

2004年 7月30日[金]― 9月12日[日]

■ギャラリートーク
　第1回 ： 千宗屋（茶道家）+高丘卓（編集者）･･･7月31日[土]18：00〜19：30
　第2回 ： 山口晃（画家）+山下裕二（日本美術史家）･･･8月7日[土]18：00〜19：30

伝統的な大和絵の手法をもちいた緻密な線描で、古今東西の事象や風俗を表現するアーティスト、山口晃。2002年夏に NADiff で開催した「日清日露戦役擬畫」では、山口ならではの時代と空間を交錯させたヴァーチャルイメージが観る者に奇妙な快感を与え、注目されました。2 年ぶりに登場する今回の展覧会では、平凡社から昨年刊行された〈澁澤龍彦 ホラー･ドラコニア 少女小説集成 第弐巻「菊燈台」〉に挿入された 22 枚のドローイングをギャラリーで展示いたします。

「菊灯台」の山口 晃は、これまでほとんど手掛けることのなかった女性の裸体やセクシァリティな描写に正面から挑み、そのふところの深さを見せつけてくれました。澁澤のエロティシズムを十二分に感受しながらも、山口の描く人物はどこか中性的な涼しさを纏います。しかしこの中性的な気配こそは澁澤の世界と共震するものであり、物語りの意図した清純さの中に潜む無垢な残酷さを、抑制された表現によって見事に炙り出したといえるでしょう。「菊燈台」の挿画は、過去・現在・未来の事物を錯綜させる巧みで繊細な山口晃の世界に、新たな飛躍をもたらしたと言っても過言ではありません。

○限定版ポ−トフォリオ｢山口晃 挿画 『菊燈台』｣
　限定60部、デジタル・プリント22点、サイン・番号入り、Ａ3サイズ、特製桐箱入り
　版元：ミヅマア−トギャラリ−, 2004
　定価 157,500円（税込）／会期中（7/30-9/12）限定20部・特別価格 136,500円（税込）

○澁澤龍彦＜ホラー・ドラコニア少女小説集成＞第弐巻『菊燈台』／平凡社／2003／1,890円（税込）

企画協力：ミヅマアートギャラリー　　協力：ART BY XEROX、平凡社、澁澤龍子

山口 晃　Akira YAMAGUCHI
1969年東京生まれ。'96年東京芸大大学院美術研究科修了。'97年「こたつ派」展に参加し、一躍注目を集める存在となる。近代化・西洋化に伴い欧米から輸入されてきた油絵具を用いつつ、日本固有の文化の一つ大和絵の表現を引用するという手法で描かれた作品は大変な人気を博しているk?。洛中洛外図的な構成や吹き抜け屋台といった日本の古典的構図の中に、古今東西の様々な事象や風俗を同一画面上に取り込んだ作品や、人間を含めた動植物と近代化の象徴である機械という無機物を融合させた絵画も山口作品の魅力。画面の細部にまで張り巡らされた巧妙な仕掛け、遊び心やサービス精神に加え、矛盾した時代構成さえをも納得させるほどの高度な描写力は、海外でも単なるエ　キソチズムを越えて高く評価されている。またここ最近は展覧会での発表の他にもCDのジャケットワークや書籍の挿絵・パブリックアートなど更に幅広い制作活動を展開中。

＜主な個展＞
1998　「イスのある茶室」ミヅマアートギャラリー／東京（日本）
1999　「借景」ミヅマアートギャラリー／東京（日本）
2000　 ミヅマアートギャラリー／東京（日本）
2001　「畫を描く歓び」ミヅマアートギャラリー／東京（日本）
2002　「日清日露戦役擬畫」NADIFF／東京（日本）
2003　『「山口晃展」展』ミヅマアートギャラリー／東京（日本）

＜主なグループ展＞
1997　「WALKING MUSEUM」高島屋タイムズスクエア／東京（日本）
1997　「こたつ派」ミヅマアートギャラリー／東京（日本）
1998　井上画廊／東京（日本）
1999　井上画廊／東京（日本）
1999　「A Window, Inside and Outside」光州市立美術館／光州（韓国）　　　　
2000　「現代美術百貨展」山梨県立美術館／山梨（日本）　
2000　「Five continents and one city」メキシコ市立美術館／メキシコシティ(メキシコ)
2001　「S(h)itting in the mirror：オレにはオレがこう見える」ミヅマアートギャラリー／東京（日本）
2001　「第4回岡本太郎記念現代芸術大賞展」川崎市岡本太郎美術館／神奈川（日本）
2002　「新版　日本の美術」 山梨県立美術館／山梨（日本）
2002　「Japan in Blekinge」ブレキンジ (スウェーデン)
2003　「わたしのお宝 交換プロジェクト」すみだリバーサイドホール・ギャラリー
2003　／東京（日本）
2004　「MOTアニュアル2004：私はどこからきたのか/そしてどこへ行くのか」
2004　東京都現代美術館／東京（日本）
2004　「Living Together is Easy」水戸芸術館現代美術センター／茨城（日本）
2004　「MEDIARENA：Contemporary Art from Japan」Govett-Brewster ArtGallery
2004　／ニュープリマウス（ニュージーランド）
2004　「開館20周年記念展　コピーの時代展」滋賀県立近代美術館／滋賀（日本）
2004　「OFFICINA ASIA」Palazzo del Ridotto／チェゼーナ（イタリア）
2004　「Living Togek?ther is Easy」メルボルン・ヴィクトリア州立美術館／メルボルン（オーストラリア）

＜受賞歴＞
2001　第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞