中村哲也プロデュース

Ｖ×Ｆ（Vivid × Fine）〜印刷の可能性〜

2004年 3月19日[金]― 4月18日[日]

アーティストトーク
■4月9日[金]18:00〜20:00
　／出演：佐藤可士和、中村哲也、野田凪、服部一成、オノウエ印刷技術スタッフ
■4月16日[金]18:00〜20:00
　／出演：宇治野宗輝、倉科昌高、中村哲也、オノウエ印刷技術スタッフ

「Ｖ×Ｆ（Vivid × Fine）〜印刷の可能性〜」は、FRPにウレタン塗装を施した巨大な造形作品で注目を集めるアーティスト中村哲也の、未知なる構想からスタートしました。2002年サントリーミュージアム天保山で開催された「THE ドラえもん」展（2003年そごう美術館に巡回）に参加した中村は、多ジャンルで活躍するトップクリエーター達と遭遇。現代アーティストとは全く異なるタイプのプロフェッショナルワークに触れ、大いに刺激を受けました。以来、「デザイナーとアーティストの境界を取りはらって創作に取り組む場が作れないものか」と考えてきた中村哲也は、"印刷"という媒体に着眼。宇治野宗輝、倉科昌高、佐藤可士和、杉本博司、蜷川実花、野田凪、服部一成の７人の実力派クリエーターに声を掛け、"印刷"を駆使して思う存分自由な発想でポスターを創ってほしいと依頼しました。そして、この企画に賛同したオノウエ印刷の全面的な協力によって制作が実現することとなりました。

タイトルの「Vivid × Fine」には中村哲也の企みが込められています。「デジタル技術の進展はとどまる所を知らず、消費者が望んでもアナログ製品やこだわりの商品が入手できないのが今の時代。クリエーターが流通やクライアントからの制約を受けずにモノづくりに臨んだその先には、業界の常識を突き抜けた斬新な表現が生まれることがある」と中村は語ります。またコンピュータ化が進む印刷業界は、速さと低コストを競って大量生産に対応する一方、卓上プリンターやカラーコピー機の普及によって領域が脅されつつありますが、そうした中で、中村は「印刷のプロセスには人の技術が介入できる、そこが重要な所だ」と考えます。印刷そのものを表現手法として正面から捉えたとき、クリエーターの奔放な発想をどこまで体現できるのか。印刷技術におけるブレイクスルーが、中村の狙いでもあります。

ギャラリーに展示される８枚のポスターは、クリエーターからの難題を克服し、文字通り"印刷の可能性"に挑戦して仕上げられた贅沢なアート作品です。「Ｖ×Ｆ（Vivid × Fine）〜印刷の可能性〜」の展示は、８人各々の凝縮された表現が隣り合わせとなって一堂に並ぶという、極めてスリリングなものとなることでしょう。また、展示されたこのポスターがその場で購入できる、アートファンにとって見逃せないチャンスも用意されています。

■アーティスト・ポスター　（あいうえお順／各 限定100枚／各 3,150円・税込）

宇治野宗輝（うじの・むねてる）／現代美術作家

1964　東京都生まれ。
1988　東京芸術大学美術学部工芸科染織専攻卒業。
1993　オリジナルツール「ラヴ・アーム」の製作を開始。
1993　以後ライブパフォーマンスを多数敢行。
1997　松蔭浩之と「ゴージャラス」を結成。
2002　岡本太郎記念現代芸術大賞を受賞。

〈主な個展〉
1993　「NEW CLUB VENUS」なすび画廊，東京
1994　「DECORATONE」ASACLOTH，東京
2001　「UJINO`s LOVE ARM」ミヅマアートギャラリー，東京
2002　「日本シリーズ」ミヅマアートギャラリー，東京
2003　「UJINO`S MACHINERY LAB.」スーパーデラックス，東京

倉科昌高（くらしな・まさたか）／カスタムペインター

フリーランスのイラストレーターを経て’93年よりMTBレーサーのヘルメットペイントを始める。’94年から’03年までBonzaipaintとして活動。現在はヘルメットのみならず、あらゆる立体物をキャンバスとしたカスタムペイント作品を制作する。異種クリエイターとのコラボレーション作品も多数。この春新たにカスタムペイントブランドSPRAYMANをスタートした。

<主な仕事>
エアボード/八谷　和彦　（1999/β、2001/γ）
レプリカカスタムエヴォリューション/中村哲也（2000）
ギター/ゾディアックワークス×布袋寅泰（2000〜多数)
チャッピー/グルービジョンズ
（’99/タトゥ、’02/フィッシュスケール、’03/木目）
ミッキーマウス立像/Disney（2003）
KITCHEN-Shelf／片山正道(2003)、他

佐藤可士和（さとう・かしわ）／アートディレクター

1965　東京都生まれ。
1989　多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。同年、博報堂入社。
1996　映画「セブン」とタイアップの本田技研工業「インテグラ」新聞広告で、
1996　東京ADC賞を受賞。
1998　「ホンダ　ステップワゴン」のクリエイティブで
1998　2度目の東京ADC賞を受賞。
2000　「キリンチビレモン」のアートディレクションに携り、
2000　日本パッケージ大賞金賞受賞。
2000　博報堂退社、クリアイティブスタジオ「サムライ」設立。
2001　「Smap」のロゴを街に展開するプロジェクトで、東京ADCグランプリ、
2001　亀倉雄策賞、東京TDC金賞、朝日広告賞受賞。
2001　キリンビール「極生」の広告キャンペーン、それに続く「生黒」開発。
2002〜2003　パリ「資生堂ラ・ボーテ」にて個展
2001　「TOKYO 02-03〈MORE THAN 2D , LESS THAN 3D〉」を開催。
2003　六本木ヒルズにオープンしたTSUTAYAの新ショップブランド
2001　「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」のクリエイティブディレクション、
2001　アートディレクション。ＮＹ発のショートフィルムフェスティバル
2001　「NUEVA」参加の「ART DESIGN」を発表。

杉本博司（すぎもと・ひろし）／アーティスト

1948　東京都生まれ。立教大学経済学部卒業。
1970　ロスアンゼルス・デザインアート・センター・デザイン・カレッジで
1998　写真を学ぶ。
1974　ＮＹに移り写真による現代美術の活動を始める。
1976　各地の自然史博物館の剥製動物を撮影する
1995　 "ジオラマ"シリーズを開始。
1978　光そのものをテーマにした"劇場"シリーズに取り組み、
2001　 米各地の｀20〜30年代に建てられた映画館などを訪門して撮影。
1980　カリブ海、死海、バルト海など世界中の海を同一手法で撮影する
2001　 "シースケープ（海の風景）"シリーズを開始。
1997　世界的に有名な傑作建造物に取り組んだ"建築物"シリーズを開始。
1999　蝋人形のポートレート撮影
1995　（写真集"Sugimoto Portraits"）を手がける。
2001　ハッセルブラッド国際写真賞受賞。

中村哲也（なかむら・てつや）／現代美術作家

1968　千葉県生まれ。
1992　東京芸術大学漆芸専攻卒業。
1994　東京芸術大学院美術研究科修了。"世界最速形態"をイメージし、
2001　進化し続ける巨大彫刻"レプリカ"シリーズや、 バイク、
2001　自動車のファイヤーパターンをかたどったシリーズを発表。
2001　「PEST CONTROL」ギャラリーＺＥＲＯ，東京
1995　「クリテリオム17　中村哲也：覇者の証」
1995　水戸芸術館現代美術センター，茨城
1996　「FAT TIME−満ち足りた時間−」AKI-EXギャラリー，東京
1997　「ポーズ」ギャラリー小柳，東京
1998　「レプリカ」ZEXEL Art Space ZOOM，東京
1999　「レプリカ・カスタム」ギャラリー小柳，東京
2001　「スピード・キング」Rice Gallery by G2，東京
2002　「手の好き間」メゾンエルメス，東京 「THE ドラえもん」展
2001　サントリーミュージアム天保山（2003年，そごう美術館巡回）

蜷川実花（にながわ・みか）／フォトグラファー

1972　東京都生まれ。　
多摩美術大学グラフィックデザイン科在学中より様々な公募展に応募し、数多くの賞を受賞。ファッション誌、ＣＤジャケット、広告、写真集や展覧会での作品発表で活動。

〈写真集〉
「17 9 97」（98.メタローグ）／「Baby Blue Sky」（99.メタローグ）／「French kiss」（99.幻冬舎 写真詩集 桜井亜美共著）／「東京色」（00. 光進社）／「Pink Rose Suite」（00.エディシオントレヴィル）／「Sugar and Spice」（00.河出書房新社）「Firefly」（00.幻冬舎 写真小説 桜井亜美共著）「MIKA FLOWERS」（01.ピエ・ブックス ポストカードブック）「Kissよりおいしいお菓子を教えて」(01.河出書房新社 詩写真集詩:chiaki)「a piece of heaven」（02.エディシオントレヴィル）「like a peach」 （02.講談社）／「月刊 木内晶子」（02.新潮社）／「CHANPLOO」（2002.09角川書店小林明実写真集）／「fragile」（02.幻冬舎 写真詩集 桜井亜美共著）／「White Ice Sherbet」（03.飛鳥新社 土屋アンナ写真集）
〈主な受賞歴〉
「第７回写真3.3・展」グランプリ受賞(95)／「第13回キャノン写真新世紀」優秀賞受賞(96)／「第9回コニカ写真奨励賞」受賞(98)／「第26回木村伊兵衛写真賞」受賞(01)

野田凪（のだ・なぎ）／アートディレクター、映像ディレクター

1973　東京都生まれ。
Ｉ＆Ｓ、大貫デザイン、サン・アドを経て、2003年宇宙カントリー設立。

〈主な仕事〉
ナイキ／ラフォーレ／サントリー「ラテラテ」、ウーロン茶キャンペーン／パンダのAIBO／YUKI プロモーションビデオなど
〈主な受賞〉
1999年TDC金賞／2001年ADC賞／JAGDA新人賞／2002年TDC会員賞、NYADC会員賞、NYADC特別功労賞／2003年TDC会員賞／ほか多数

服部一成（はっとり・がずなり）／アートディレクター

1964　東京都生まれ。
1988　東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。
1995　ライトパブリシティ入社。
2001　フリーランスのアートディレクター、グラフィックデザイナーとして活動。

〈主な仕事〉
キューピー「キューピーハーフ」／ホンダ「MOBILIO」／キリン「淡麗グリーンラベル」
「にごり果実」／パルコ／JR東日本「TRAING」キャンペーン／J-PHONEブランドキャンペーン／オンワード樫山「組曲」／大塚製薬「ポカリスエット　ステビア」／「流行通信」誌リニューアル／旺文社「プチロワイヤル仏和辞典」／マガジンハウス「ホンマタカシ写真集 STARS AND STRIPES」／林央子「here and there」など
〈主な受賞〉
1999〜2001年東京ADC賞／2000年JAGDA新人賞／2003年東京ADC会員賞など